失われた足跡 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫―ラテンアメリカの文学)(カルペンティエル/牛島 信明)』とうとう、女流画家の別荘を離れ(愛人は死ぬほど嫌がったらしいですが)、ジャングルへと旅立ちますよ。その途中でアンデス山脈を越えるのだが、この辺りはラテン・アメリカの自然の厳しさをまざまざと感じさせる描写になっているなあ、と思う。私も、映像で意識して観たのは「モーターサイクル・ダイアリーズ」でだったりするのだが、普通の山越えを考えているととんでもない、らしい。高さが違う。気候が違う。ここでも、道路の真ん中に倒れこんでいる女を助けるシーンがあるが、自然とは舐めてかかると大変なことになるんだぜ、ということを今更ながら気付かされる。
さて、別荘を飛び出すきっかけのひとつとして、別荘で繰り広げられた宴会があるのだが。ここでもまた、愛人のムーシュの家で行われていたことのデジャヴか、といった状況になるのだ。すなわち、その中はヨーロッパなのだ。現地の若き芸術家たち(主人公は、東洋の三博士に喩えている)たちは、自国の文化について語ろうとしないし、振り返りもしない。ムーシュたちの口から、フランスの話ばかりを聞きたがる。
音楽家によれば、今日の芸術家は思想や創造活動がもっとも活発なところにおいてのみ生きることができる、したがってその知的地勢が、彼の仲間の頭にきざみこまれているあの都市(まち)にもどらなければならないのであるが、その仲間というのは、地下鉄の駅―ソルフェリノ、オベルカンブフ、コルビサール、ムートン=デュベルネ―に濃い青の丸印がつけられた市街図を手にして、目をあけたまま夢見ることのできる連中なのだそうだ。(p.99)
と、呆れている。本人たちは、いたって真面目なのだが。
おそらく主人公やムーシュは、西洋人なのだろう。現住所はおそらくパリ。最初の方に、主人公は金髪だと述べられているところからも推測する。この地で西洋的な文化がもてはやされるのは、そのまま日本の姿を見せられているような気がして、少しつらい。そして、この地の文化を現地の人たちにさえも否定されることは、幼い頃をこちらで過ごした主人公(そして、おそらく当時が彼にとって特別な時期だったのだろう)には、受け入れがたいことだったのだろうと推測される。彼は、西洋の文化に属しながら、ラテン・アメリカの文化に憧れ(少なくとも興味)を持つ立場なのだから。
小ネタがいくつかあるんですが、なかなか更新する余裕が無いのでここでささっと。
NTT出版から、『
ウェブログの心理学(山下 清美/川上 善郎/川浦 康至/三浦 麻子)』が出ました。私も、ごくごく一部ですが、お手伝いした部分があります。昨日、店頭に出ているのをぱらぱらと見てきましたが、A6ソフトカバーと軽装で、内容も真面目ですが読み易く、楽しんでもらえるのではないかと思います。年表なんかもついてますよ。附録の「ウェブログの歩き方」は、ウェブログに限らず、インターネットで渡り歩いていく上で知っておく方がいいことだと思います。この本を置くジャンルがまた難しいのですが、ブックファーストはやっぱり心理学の棚にありましたね……。どちらかといえば、社会科学の辺りに置いてもらえるといいんじゃないかと思うのですが。旭や書店渋谷店は、ちゃんと社会学のコーナーにおいてありました。こっちは、心理学の棚に置くと浮いちゃうんだろうなあ、という気もするのですが。

昨日、Loftに行って文房具を物色してたら、ブックカバーのコーナーが大々的にできているのを知った。布製で、私が先日イノブンで買ったアルテミスの商品も揃えてある(チャペックものは無かったみたい)。そこで、パターン図柄で、裏側がビニール張りの薄手軽装のブックカバーを見つけました。ひとつは、以前使っていたフェリシモのものにかなり近い。生地はもう少し丈夫かな。もうひとつは、それよりは少し丈夫そうな感じで、栞紐もついています。ああー、これで左側折り返し部分にポケットがついていると完璧だったのに。フェリシモのにはついていて、読んでいるときはここに栞を入れるという使い方をしていたのですよ。切符を買ったときもここに入れていたし。まあ、今のアルテミスの頑丈な布カバーも慣れてきはしたのだけれど、やっぱり嬉しいのです。選択肢も広がるし。
今朝、写真を撮ってみたけど自然光が少なくて、かなり暗めに写ってしまいました。リベンジの機会があれば掲載したいと思います。
追記。レタッチすればいいことに気がつき、自動調整でやってみたらうまく色が出た! ということで、画像右側が差込口(通常、縦書き本なら表紙に近い方)で左側が逆側。可変なので、本の厚さによって調整できるようになっている。ベージュの方がより丈夫にできていて裏側折り返し部分にも生地が使われている。青の方は、フェリシモの廃番になった私お気に入りのブックカバーにかなり近く、裏打ちと表紙の折り返し部分は半透明のビニールになっている。これが、カバー折り返し部分がそのまま読めて、なかなか使い勝手がいいのですよ。使用はまだなので、これから試してみます。
第二回は今週の土曜日にブックファーストで、なのだけれど、昨日レジで整理券をのナンバーを見ると、まだ余裕で余っているようです。もし迷ってらっしゃる方は今のうちに。
……と言っていて何ですが。私も配布されてからすぐに整理券はいただいたのですが、この日はWikiばなだということをすっかり忘れていて(いや、Wikiばなを忘れていたわけではなく、それぞれのスケジュールを入れていたのが別々の場所で、同期をとろうとして判明したというわけ)、もろに重なってしまった〜。最初は、途中抜け出して参加しようか、とも考えたのですが、あまりにも無責任なので今回は泣く泣く諦めます。前回も風邪で寝込んでいて参加できなかったんだよなー。どうも、めぐり合わせがよくないらしい。
参加される皆様、楽しんできてくださいねー。レポートもよろしく!
ソエダさんの呼びかけにより、実に三年半ぶりにですぺらに行った。記憶とさほどたがうことなく、しかし改めて棚の充実ぶり(本じゃなくてお酒ね!)に感動しつつ、控えめに飲んでみた。もうちょっと人数がいればハーフショットで飲めるコースを試してみたかったけれど、今日は二人なのでやめておいた。ソエダさんとお会いしたのは、その三年半前のここ以来だったので、どんな話になるのやら、と思っていたが、案外真面目に作品の話をしていたような気がする。しかし私は、間が空くと喋らなきゃ、と焦ってしまうのは相変わらずらしい。うるさくて失礼しました。
前回は饅頭茶漬けなどを自前で用意して食べていたので、それほど食べ物を口にした覚えがない。今回は、色々といただくことができたが、ごついトンカツを使ったカツサンドには驚いた。あと、けものくさい風味全開のスモーク肉とか。これは確かに、シングル・モルトには合うかも。
途中、ダイジマン氏をスカウトしてみたのだが、やっぱり来られなかったようで残念。また声を掛けてみよう。でも別に、いつも黒い話をしてるわけじゃないよ!
赤坂見附までバスで行ったのだけれど、窓の外を見ているうちに、ロスト・イン・トランスレーションごっこを思いついた。流れてゆく街の景色を、エトランゼの気分で切り取る。
が、やはり見慣れた街を、異邦人の目で切り取るってとても難しいことなのだなあ、と思った。あんな風に、肯定的な好奇心だけでは見られないし、全く違うところに目をつけてしまう。つまりは、当たり前の景色ではなく、ちょっと変わっていて目を惹いた場所とか。
途中、赤坂駅近辺を通ったのだが、この辺りは社会人になった当時の通勤路だったので、ひどく懐かしい気分に襲われた。が、また、馴染んでいた街の風景がかなりの割合で削り取られ、挿げ替えられていることの驚き。これは数年前に赤坂見附を歩いたときにも思ったことではあるのだが、より強烈だった。悲しくも悔しくも無いのだけれど、なぜか泣きそうになった。チェーンの居酒屋ばっかり並んでいるしね。