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2005年11月01日 (火) [長年日記]

_ [読書][TimeBookTown]松浦理英子『犬身』第20回

 11月になったので、TimeBookTownの連載小説ゲット。角田光代も連載を始めてるのだけれど、結局まだ全然読んでない。それより先の作品をまず読みたかったから、ということもあるのだけれど。そういう訳で、松浦理英子の連載小説のみ購読中。

 かねてから種同一性障害に悩んでいた房江は、飼い主になって欲しい女性と出会い、バーのマスターに魂を売る代わりに犬にして貰う。算段していた通りにその女性・梓に貰われていくが、そこで梓の兄・彬とのおぞましい関係を知ってしまう。梓の実家の様子も知ることになり、バーのマスター朱尾と共に、心ならずもこの複雑な関係を解き明かすことになる。

 二人の母は彬しか目になく嫁を目の敵にしている。嫁は、そんな義母もそうだが義母に甘えっぱなしで父親・夫としての義務を果たそうとしない夫に憎しみの感情さえ感じていて、とうとう息子を連れて家を飛び出てしまう。

 とまあ、随分長い間どろどろの状態を続けてましたよ。ちょっと、松浦作品を読んでいるのを忘れてしまうほどだった。一連のエピソードや今回の件で分かったけれど、この彬というのは溺愛する母親に育てられた息子にありがちな自己中心さを持ち、人の気持ちをよく知ろうともしない人なんだね。でもって、自分の自己中心さはある程度だが自覚していて、それを逆手にとっている非常に嫌な存在だ。ある意味では男性性の権化か。こういう存在を、著者は描きたかったのかなあ。それに対し、彼を疎んじつつもはっきりと拒絶することのできない梓の行動の不可解さ。それらを、何も手出しのできない犬としてフサ(房江)が傍観者として我々に提示している状態。傍観者だし言葉は一方的にしか通じないし、犬だし、で、限られた情報しか与えられていない。それに対してバーのマスター朱尾はどこか人間離れしたところがあり、実際この物語の中でも人間を超えた能力で周囲をやんわりとコントロールしている。果たして、彼は何者なのか。そして、梓の胸の内は……??

 ちょうど、今回のラストでフサの顔を見た梓が声を上げて泣く場面があるから、次は何か急展開が待っていそう。ああ、ますます翌月が待ち遠しくてたまらなくなってきた。これだから連載小説は読みたくないんだよ。

 24回くらいで最終回を迎えて、本になりそうな気がする。

_ [読書][読み中][TimeBookTown]角田光代『 キッドナップ・ツアー (新潮文庫)(角田 光代)

 PCでの読書だと限られた時間しか読めないから大変なのだけれど、長編を読むのは『銃』に引き続き二本目。借りる権限があるんだから、借りてみたいのだよ。

 夏のある日、道を歩いていたら車の中の男に声をかけられ、そのままユウカイされた。ユウカイ犯は知った人。お父さん。お父さんと一緒に、あてどのない旅が始まる。

 全体的に、この小学五年生の娘がしゃべっているかのような設定になっているのだね。理論社から出たということは、子供向けでもあるのか。お父さんがふざけた人で、離婚して自分を育ててくれるお母さんはしっかりもの、という設定はよくあるようには思うが、その「ろくでなしぶり」がなかなかに具体的な描写で、性格を掴みやすい。全体的に、うまいなあ、と思えるのは、ストーリーが単純なせいだろうとも思うが。ファミレスのメニューの話とか、お父さんと言い合う、お母さんの料理で好きなもの、とか、海辺での同い年の女の子との会話とか、実に自然だなあ、と思う。主人公の置かれている状況はひどく不自然だけどね。

 何とか1/3くらいまで読めたので、多分するっと読み終えてしまうのだろう。あまりストーリーが複雑でない、言葉も難しすぎない内容を選んだ方がやっぱりいいのか。


2005年11月02日 (水) [長年日記]

_ [読書][読み中][TimeBookTown]角田光代『 キッドナップ・ツアー (新潮文庫)(角田 光代)

 おおー、なかなか面白い。子供の目線で書いてあるのだけれど、彼女の感情の揺れみたいなものが実に丁寧に書けていると思った。両親が離婚し、母親に育てられている小学5年生の女の子。彼女が、ある日別れて暮らすお父さんにユウカイされたことから、話は始まる。折角仲良くなった海辺の民宿の隣の部屋に泊まった女の子と住所を交換する約束をしたまま別れてしまい、その辺りから少女のフラストレーションは最高潮になる。多分、その苛立ちというのは、大人だけですべてが決まってしまい、自分には何も知らされず、部外者でいることの不満なのではないかと思う。考えてみれば、親の離婚だなんて最たるもので、自分が嫌いになったわけでもないのにある日突然、片方の親と他人として暮らすことになってしまう。そして、たいていの場合はそれについてきちんと説明されることもない。このユウカイ自体も、お父さんは何をお母さんに要求しているのか教えてくれない。自分が関わっているのに自分だけが事情を知らないまま振り回されている苛立ちが、彼女にあんな大胆なことをさせたのではないかと思う。

 という訳で、ひと騒動あった後になぜか山寺にやってくるのだけれど、この辺の話の運びがとてもいいなあ、と思う。ひと騒動があった夜は近場の旅館に泊まることになるのだが、ここで間抜けなユウカイ犯の目を逃れて(お風呂ではしゃいでいる間のことだったので実に簡単)母親に電話してみるが、その後、父親と一緒に夜の海に浮かんでいるときのくだりがとてもいいと思った。そして、山寺に至るまでの親子の様子、山寺のおかみさんの存在などなど、実に「ほどよい」感じ。大人が読むに耐えうるジュヴナイル小説だと思う。いや、結構な割合のジュヴナイル小説が、大人が読んでも十分なクオリティを持っているのだとは思うが。特に、子供の目線で大人の勝手な様子が描かれているので、自分の行動を振り返ってつい反省してしまったりもする。小学5年生という年齢も、大人の事情が分かってくるのに「子供なんだから」と「保護」という名で遠ざけられている不満を感じる年頃なのは、自分の昔を思い出しても分かる気がする。

 いや、これはなかなかの作品だと思います。実をいうとバックパッカーものなどはいくら年代が同じでもいまいち共感できずにいたのだが、かえって子供が主人公のこの小説の方が自分に合ってるなあ、と思った。

_ [読書][読み中]清水真木『 友情を疑う―親しさという牢獄 (中公新書)(清水 真木)

 キケロの話から始まってますよ! 「友情」という概念の違いがこんなにあるとは思わなんだ。

公共の空間という、人間らしい生活に不可欠の空間を成立させるための基盤であり、公的な生活において出会う他人こそ、理想的な対人関係の相手、すなわち友人である(p.20)

という定義がいまいち飲み込めないでいたのだが、

友情というのは共同体が成立する際の原理となるものであり、共同体の構成員はたがいに何らかの意味で友情によって結びつけられていると(古代の)哲学者たちは考えていた(p.73)

という説明でだいぶ理解できるようになっていた。私たちが考えている公私の境目というのもその時代とはだいぶ異なるようだし、いや、いろんな概念があるものだなあ、と思いますよ。

 こんな感じで、かなりしつこくひとつの章であるひとかたまりの友情に関する概念について説かれているのだが、答えを急ぐ向きにはかったるくて読んでられないかも知れないな。あくまでも、自分の思考実験と整理とヴァージョンアップみたいなものだと思うので、そういうのが必要な人だけ読めばいいものだろう。

_ [本の話]目線の話メモ

 『キッドナップツアー』も『犬身』もそうなんだけど、事情をあまり知ることができない存在を語り部に持ってくると、うまくいく話があるよな、と思う。その逆側にあるのが、神の視点、もしくはすべてが終わったとでの当事者(もしくはそれに近い人)の回想という形で語られるものになるのだろうけれど。

 『犬身』は、神の視点はおそらく得体の知れないバーのマスター朱尾。彼は、化け狼みたいな存在らしいが、それを知っているのは房江(フサ)のみ。房江を犬にしたのは朱尾だし、その後、アフターケアっぽく夢の中に登場したりして彼女には見えない事情をたまに教えてくれたりする。基本的には秘密主義で、それを楽しんでいるところがある。犬という、一方的には言葉で伝えられず、また別種であることから働きかけることも限られる(しかし逆に、通常の人間よりも介入するのが簡単な面もある)主人公というのは、なかなか面白い。

 『キッドナップツアー』は、子供を主人公に持ってきて彼女の一人称で語られることによって、子供から見る大人の事情が見え隠れする。子供といっても小学5年生というと、かなり大人の世界も分かってくる頃だろう。だからこそ、何も説明されず蚊帳の外に置かれることに憤りも感じる訳だが。旅に出ることで情報が遮断されることや、現代よりも少しだけ過去の話なので携帯電話やインターネットなどが無いのがこの物語の特徴(って、発表当時は普通だったのだろうが)、不思議とその「制約」は意識させるが古びた印象は与えない。

 偶然にも「限られた情報しか与えられない」主人公の小説を続けて読んでいたので、こんなことを感じたのだけれど。まあ、使いようではあります。それと腕次第。

_ [wiki]PukiWikiのTrackBack機能が削除されているらしい

 昨日、PukiWikiのバージョンを1.4.5_rc1から1.4.6にしたら、TrackBack機能が無くなっていた。同じログディレクトリを使っているはずのリファラは参照できるのでどうした訳かと検索してみたら、数ヶ月前にMLでも質問があったみたいだね。そのときは関係ないかと思って見逃していたのか。

 ん〜、一旦盛り込まれた機能が無くなってしまうのは不本意だけれど、こりゃ仕方ないな。一旦メニューから外しておくことにしよう(スキンは以前のものを引き続き使っているので、そのせいでTrackBackのメニューも出てきてしまうのだろう)。しかし、問題になるのはcssファイルのライセンスの方なのか。

 えーと待てよ。この状況だと、受信した分を見ることができないだけで、送信はOKなのかな? それもどうかと思うので、ちょっと試してみてその通りだったら一旦TrackBack機能全般を使えないようにしておこう。

_ []横浜・広美のあぶり鯖の押し寿司

リーフレット  渋谷・東急東横店の東急FoodShowに入っている成城石井前では、期間限定でいろんなものが売られている。今回気になっていたのがあぶり鯖寿司で、一昨日は売り切れだったので昨晩再挑戦したら「明日まで置いておけますからね」と言われ、お言葉に甘えて(?)今日のお昼にしてみた。

 食べてしまったので画像はお見せできないのだが、はあ、鯖が肉厚で、とてもおいしかったですよ。一竿ぺろりと食べてしまった。入っていたリーフレットによれば、横浜・広美のもの。検索してみたら、通販もやっているらしいのだけれど、あれ、1,200円(オープン記念で現在1,000円らしい)だよ。私が買ったときは600円だったのだが(食べるときに値札をもう一度見たから間違いないはず)。もしかして、すごい安売りだったのかな? だって、通常価格の半額だもんねえ。

 私が買ったのは冷蔵タイプなのだが、冷凍タイプもありこちらは1週間ほど持つそうだ。確か特設コーナーではあぶり穴子寿司もあった筈なので、まだやっていれば買ってみようかなあ。

 よく分からないけど、お店は保土ヶ谷にあるらしい。食品会社の一環としてのお店なのかな? 桐島洋子のコメントが同封のリーフレットにあるのだけれど、店の名前を入れ換えればほかの店にも使えそうなもので、どういいのかがさっぱり分からないっす。


2005年11月03日 (木) [長年日記]

_ [読書][読了]柳下毅一郎『 殺人マニア宣言 (ちくま文庫)(柳下 毅一郎)

 『宇宙舟歌』の文章がとてもいいので彼の普通の文章を読んでみたくなったのと、先日有名になった事件でグレアム・ヤングの名が出てきたので多分この本にも書かれているに違いないと参照してみたところやっぱりあったので、そのまま全部読んでしまった。

 本は大きく2つに分かれている。前半は有名な殺人事件の現場巡りで、後半は殺人事件を題材にした映画にまつわる話や、本のこと。切り裂きジャックの足跡を追う話は当時のロンドンと現在の違いを比較しながら十分に観光案内になっている。淡々とその事実やそこから浮かび上がってくる事象、そこでの自分の感想などが非常に簡潔に書かれており、この手の本にありがちな、劣情を誘うというか、そういう余計な飾りは見られないのが小気味いい。あとがきに代える対談でも垣間見られるが、読者としてもそういう本自体があまり好みではないようだ。

 陰惨で猟奇的な事件が起こった場所のその後の扱いが全然違っているのも興味深い。たとえば切り裂きジャックの闊歩していた辺りにあるパブは当時から別の名前であるもので、一時期はその名を冠していた、という話や、実際に殺害現場となった屋敷が町の資料館およびB&Bとして営業されている話もあれば、オークションにかけられる直前に何者かによって放火されて跡形も無くなったり、整った家並みの中でその建物だけが周囲よりちょっとだけ新しかったり。

 「誰か俺を止めてくれ」という切実な叫びが、彼らの心の幾分かを表しているのかも知れない。

 柳下氏は、彼らは決して特殊な人間で自分たちとは種類が違うのだ、とは思わず、むしろ自分たちと地続きのところにいて、自分だっていつあちら側に行くか分からない、と語る。あまりにも恐ろしいことをやってのけるのでつい彼らを怪物扱いしてしまい勝ちだが、実際、そういうものかも知れないとも思う。

 それにしても、こういった謎に包まれた犯罪がそのまま学問に近いところまで成長するってのはすごいことだ。

_ [読書][読了]立川談四楼『 落語的ガチンコ人生講義 (新潮OH!文庫)(立川 談四楼)

 そばにあったので何気なく手に取ったらそのまま読了してしまった。これと同じような講師をした人の本を読んだなあ、よく似てるけど誰だっけなあ、と読んでいる間中思っていたのだけれど、この本の内容は初めて読むものだったので、全然気づかなかった。この本、買った当時に既に読んでいたよorz。

 専修大学の特別講義として1年間落語を教えることになった「落語もできる小説家」立川談四楼の悪戦苦闘の様が、24回の講義の中に綴られている。学生たちの身勝手さに本気で怒り、時にはツボを押さえた女子大生の感想に淡い夢を抱く。最初のガイダンス時には「レポートも試験もありません!」と宣言して学生たちに大喜びされるが、その後現実を知り、夏休みには彼の著作を読んでの感想文と落語の寄席を見た感想文を書かせるという強攻策に出る。彼らは、落語家の名前を満足に書くこともできず、あのすばらしい志ん生師匠の声を「高くて気持ち悪い」と言い「私とは笑いのツボが違うようです」とうそぶく。談四楼はそんな彼らの態度に落胆し、しかしどうやったら分かってもらえるかの工夫を始める。その後、三平師匠の落語を聴かせたときは、だいぶ学生らの反応も違ったらしく、「自分の好きなものが分かってもらえた」と大喜び。夏休みに寄席を見に行くことを強制させたおかげで彼らにも落語を楽しむ素地ができあがり、その後志の輔の高座のビデオを見たときには、驚くほど反応が良くなる。まさかここまでの反応は期待していなかった談四楼は彼らのことがすこーしずつ理解できてきて、お互いに歩み寄る様は読んでいてわくわくする。

 毎回のようにアンケートをとり、夏休みのレポートが多すぎてその重さに閉口しながらもひとつひとつ読みながら大感激。この本を読むと、学生もそうだが教える方も襟を正さざるを得ないのではないか。

 この本はある意味では古い価値観の大人とそういうのが理解できない若者とのファーストコンタクトものであり、お互いが少しずつ歩み寄る様を見る成長物語でもある。なかなかの感動ものですよ、これは。私も談志師匠の「黄金餅」、生で聴きたくなったなあ。


2005年11月04日 (金) [長年日記]

_ [読書][読了][TimeBookTown]角田光代『 キッドナップ・ツアー (新潮文庫)(角田 光代)

 別居中のお父さんが、小学五年生の娘を誘拐する。娘の視点で書かれたこの物語だが、そこには情けなくて子供っぽいお父さんが描かれている。この物語は構成もいいと思う。突然のユウカイ(まあ、誘拐はいつも突然だろうが)、お父さんと転々とする貧乏旅行、身勝手な親への反発、トラブル、垣間見える父と母との関係、仲が良かった頃の自分たち、周囲の大人たち、旅先で出会う子供たち……。そんな経験を経るうちに、自分さえも知らないうちに大人になっている自分に気づく。そんな、一夏の経験。

 このおやじはそれにしてもいい加減だ。しかも、何週間も働かずにいられるなんて、多分普段からろくな仕事をしてなかったに違いない。もしかしたら、元バックパッカーかもね。それにしては火のおこし方もへたくそなほど情けない父親だけれど。最初は自分の頭を飛び越えて物事が決まっていくことに苛立ちを感じるハルだが、ある事件(自分が引き起こしたのだが)を機に、そういった態度を改める。そんな彼女が、家に帰ることになったところでまた不機嫌なお芝居を再発するのがなんだかかわいらしい。

 お父さんはいわゆる「既成の概念に縛られない自由人」というやつなのだろう。それが、お母さんには魅力的に見えることもあったのかも知れない。しかし、実際に生活をしていく上では、情けなく、または頼りなく映ったことが何度もあったに違いない。ハルの語るお母さんの性格やお父さんに対する態度からしても、そんな風に見て取れる。もしかしたら子供ができたら少しはちゃんとするかも、と思っていたのかも知れない。でも、全然変わる様子が無いことに呆れて、別れを決心したのかも知れない。お母さんは、近くに自分の母親や妹が住んでいてしょっちゅう行き来があるから、あまり孤独を感じないかも知れない。でも、多分お父さんは違うのだろう。お母さんと別れて暮らすようになってから、ほとんどの時間をひとりで過ごしたに違いない。って、これは私が感じるだけの話だが。ユウカイの交換条件が何なのかはとうとう明らかにされなかったのだけれど、もしかしたらハルと暮らしたい、ということだったのではないか。もしかしたら「離婚したくない」ということだったかも知れない。

 この数週間の中で、娘はお父さんをひとりの人間として見ることになる。夜のエピソードがどれもいい。旅館を抜け出して海に二人でぽっかり浮いてみたり、山寺のお墓で蛍を見つけて見入ったり、バーベキューをしたり、壊れかけた自転車を漕いでいたり。そういう「冒険」を経て、ハルはお父さんの姿を「お父さん」というフィルタをちょっと外して見ることになり(もしかしたら、以前はお母さんというフィルタも付いていたのかも知れない)、そのことによって自分が一段と大人になっていくのに気づくのだ。この主人公が小学五年生というのは、実にうまい設定だと思った。ちょうど、大人と子供の間を揺れ動く時期だよね。

 それにしても面白いのが、ガラスに映った自分を見て「一皮むけた」のではなく「皮だけ残して入れ替わった感じ」というところ。これは、実際に著者が感じたものでもあったのではないか。毎日丁寧に洗っているのに薄午後れていく自分を見ているのに、そこに成長を感じている。多分、ここにはそういう「経験」がたくさん詰まってるんじゃないかな、と思う。

 自分が子供だった頃のことや、お父さんの情けない姿に自分を重ね合わせたりして、ちょっとした「別の自分」を味わうことができたように思う。これはおすすめ。

_ [買った本]買った本

 ブックファースト渋谷店にて。

 ふは。11月最初の本買い終了。


2005年11月05日 (土) [長年日記]

_ [読書][漫画][読了]さそうあきら『 タマキトヨヒコ君殺人事件 (アクションコミックス)(さそう あきら)

 さそうあきらは最近長編ばかり取りざたされるけれど、実は短編がすごく面白い。ここに収録されているのは「殺人(未遂)事件」がほとんどで、それ以外も結構物騒なものが多かったり。

 表題作の「タマキトヨヒコ君殺人事件」は、東京に遊びに行ったときにちょっと羽目を外しすぎちゃって「誰も分からないだろうから」とAVに出てしまった田舎の美女(自分を不遇だと思っている)が、村のみそっかす(うーん、ちょっと脳が足りなさそうでぼーっとしてる感じの人)にそれを知られてしまう。どうにかして彼を消さないことには自分の醜聞が広がってしまうというので、躍起になって彼の殺害を計画する――と。ああ、いま思い返すと、倉阪鬼一郎『田舎の事件』に収録されててもおかしくないのかも。そういえば、この単稿本の表紙も(偶然だろうけれど)さそうあきらだったよ。

 どれもが深刻なのに全体の空気はあっけらかんとしていて、当人の切実さも外側から見ると案外ばかばかしいんだなあ、と感じる。そう、もうちょっと肩の力を抜いて生きるといいのかも。


2005年11月06日 (日) [長年日記]

_ [読書][読了]R・A・ラファティ『 宇宙舟歌 (未来の文学)(R.A. ラファティ/R.A. Lafferty/柳下 毅一郎)

 ああ、とっても面白かった! ラファティは読者を選ぶとか、いろいろ読む前に構えちゃいそうな情報が多くて耳年増はこれだから困る、のだけれど、これは買ってまもなく読み始めて何とはなしに手に取ったのに面白くてするする読んでしまい、途中インターバルを置きながら(あまりにもあっけなく読めてしまうので、ちょっと勿体なくなったのだ)読み終えてしまった。

 「オデュッセイア」のパロディとも読めるこの小説。元ネタをちゃんと読んでいればもっと面白いのだろうなあ、と、またしてもギリシャ悲劇読書の必然性を痛感する。オデュッセイアは戦争が終わり故郷に帰る際に神の怒りを買って10年間さまよい続けるある意味不条理小説だと思うのだけれど(読んでないので外部情報のみだけれど)、この物語は寄り道をしようとしたことこそは自らの意志だけれどあとはぜーんぶ「不慮の事故」。最後は地獄まで行ってしまうのだけれど、「俺たちが思っていた地獄はこんなちんけじゃない!」と大暴れして飛び出てしまうというアホっぽさだ。

 主人公のロードストーム船長がこれまた少々おつむが足りなく、周囲もそれを容赦なく突っ込む。でも、彼のアイディア(というより単なる思いつき)で危機を乗り越えることも多く、彼が船長である理由も、なんとなーく分かってくるよ(最後の方でそのものが言及されているね)。

 船乗りというのは地上に落ち着くのは心底苦手らしい。そんな訳でロードストームも「もう懲り懲り」と言いつつもまたぞろ宇宙へ飛び出していくことになるのが、なんとも爽快。あっけらかんと楽しくて、もっとこの世界に浸っていたくなってしまう、愛すべき佳作でございました。

 翻訳の、柳下さんの文章もとてもいいと思った。

_ [TV][ドラマ]「野ブタ。をプロデュース

 なぜか見ている。最初の回は土曜日にやってるとは気づかず、見逃したのだけれど。原作とはだいぶ違っていて、野ブタ。は女の子。だが、暗いだけで外見はさほど悪くない。磨けば光るってヤツ? 主人公の修二のほかにもうひとり、ちょっといかれてる感じでクラスからは浮いている男の子が設定されていて、この2人で野ブタ。人気者計画を進めていく(修二は嫌がってるらしいが)。

 先週の文化祭の回では修二があちこちから引っ張りだこの人気者だというのは分かったのだけれど、どうして大切な用事があるときに断ることができないかなあ、とちょっと呆れちゃうけど、最近の子はあんなもんかね。まあ、野ブタ。のお化け屋敷の手伝いは陰でやってるからそうそう口外はできないだろうけれど、ほかの頼まれごとは明らかにオーバーフローですよ。まあ、それでも何とかこなしてしまう「使える男」的な演出かも知れないけどさ。

 まあ、修二の性格付けはうまくいってると思う。いわば彼女のマリコが担っていた「良心」の部分を彰が担っているのかも知れないのだけれど、そうするとマリコが「人気者の修二とつきあっていることに特権意識を抱いているイヤな女」という感じに見えちゃうんだよねー。まあ、野ブタ。を女の子にしちゃったときからこうなる運命だったのかも知れないけど。

 それにしても、最近のジャニーズの人が出てるドラマをはじめて見たのだけれど、まあ修二役の亀梨和也は普通だとして(でも、最初見たときは「美少年には見えないなー」と思ってたのだけれど最近見慣れてきたのか普通に見える)、彰役の山下智久は、あれは役作り?それとも地? いや、危ない雰囲気はよく表現できてはいるのだけれど……(汗)。

 あ、あと、今回見て思ったけど、野ブタ。が段々キャラ化しつつあって、一歩間違えるとちびまるこちゃんの野口さんだな。特に板東に話をしに行く時に「の…野ブタ。パワー……!」とセルフパワー注入する辺りを見てそう感じた。

 そういや、「花より男子」もなぜか見ているよ。こっちはみんなジャニーズかと思ったけど、ひとり(松本潤)だけだったのか。なぜ分かったかと言えば、彼以外はみんな顔写真がwebサイトに出てるから。花沢類は、「キャンディキャンディ」で言うところのアンソニー?

 こっちも、わざとらしくはあるけれど、まあまあ面白い作品になってると思う。でも、藤堂静(佐田真由美)は笑顔がわざとらしくて怖いぞ。道明寺椿(松嶋菜々子)は、その女王様っぷりが堂に入ってて良かったよ(笑)。

 これも一歩引いたところから見ると、少女漫画の王道だよなあ。「普通の女の子」がスーパーお坊ちゃま・お嬢ちゃまの学校に入ってしまい、貧乏人と蔑まれながらも持ち前の正義感と明るさで「本物を知る人たち」が魅了されていく。そういう意味からいけば、お姉様役である藤堂静やリーダー格の頭の上がらない姉・道明寺椿に好かれる牧野つくしという存在は、読者が自分を仮託するのに十分な存在といえる。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ 松本潤 [写真]

_ にじむ [↑なんスか、これ?]


2005年11月07日 (月) [長年日記]

_ [wiki][イベント]Wiki小話Vol.2「Wikiと著作権」@新宿文化センター

 「もしかしたら道間違えちゃったかなー。でも、日清のところを曲がるんだったよなー」と心配になった頃に案内板発見。何とか到着できた。既に集まっている人多し。

 この後は、後で書きます。


2005年11月08日 (火) [長年日記]

_ [読書][読了]清水真木『 友情を疑う―親しさという牢獄 (中公新書)(清水 真木)

 最後が駆け足だったような気がするけど、基礎部分(「友情」を巡る哲学的な系譜)をしっかりやってくれたお陰で、今の社会が少し見えてきた気がする。本来は行政がやってしかるべきことをボランティアにはじめから頼るような世の中は良くない、という主張が、それだから生きてくるし、納得させられる。

 全面的に賛成とは言えないけれど、「暗黙の了解」を基盤にした社会の脆さと危うさを実感した。この前の「朝まで生テレビ」を見つつ感じていた部分もここなんだよな。自民党の議員はことごとく、ほかの出演者が「明文化しておかなければ駄目だ」「詰めなければ駄目だ」というところを「民主主義の世の中なのだからそんなことにはならない」というせりふ一辺倒で逃げようとしていた。そこにうさんくささを感じるわけだが、その根本にこの本で語られていることがあるな、と感じた。明文化するというのは、立憲主義社会の根幹をなすものじゃないのかね。昨今は、どうもこれが軽視されている気がする。信用してる・していないの問題(ある意味、「友情」のはき違え)ではないのだ。

_ [読書][読み始め][TimeBookTown]角田光代『 対岸の彼女(角田 光代)

 専業主婦と負け犬女を描いたものとして話題になっていたこの本がTimeBookTownにあったので、挑戦してみることにした。前にもそうしかけたのだけれど彼女の作品はアンソロジーで短編を1本読んだきりでそれではあんまりだから、いくつか準備期間をつくってきたという訳。その中で、彼女はバックパッカーを登場人物に持ってくることが多く、実際彼女もそういった旅が好きだということを知った。そうすると、今回の作品はちょっと珍しいなあ、と感じていたのだが、中身を読んでみるとなるほど、彼女の作品だと思った。

 キャリア・ウーマンといっても旅行代理店経営者の葵は、東南アジアとかのバックパッカー対象のコーディネイトをしているらしいが、最近経営が危うくなってきているらしい。そこで新規開拓ということでハウスキーピング事業(なんだかんだと理由はつけているが、まあ手っ取り早かったんだろうし誰かから持ちかけられてほいほい乗ったのだろう、そういう人っぽい)まで手を広げようとしている。そこで新規スタッフを募集したところ応募してきたのが、小さな子供がいる専業主婦・小夜子だったという出会いだ。

 小夜子は、公園デビューに失敗して公園ジプシーをしている一児の母。娘を見るにつけ、自分にそっくりで社交性が無いことに驚き、また辟易している。いっそのこと、自分が働きに出て保育園に預けた方がうまくいくんではないか、という思いで何とか捕まえた職場。結婚する前はかなりばりばり働いていたようだが、女性が多い職場でその人間関係に疲れて結婚を機に辞めてしまったという。なんか、「もしかしたらなっていた自分」っぽいなあ、と感じる。わざと女性が少ない職場を選んだのも、結婚しても働いているのも、こういう目に遭いそうだったから、という理由もあったもんなあ。

 一方、葵も順風満帆な人生ではなかったらしい。人とのつきあい方が分からずに疎んじられ、いつしかいじめを受けるようになる。そこから逃げるように引っ越し高校に進学したエピソードがところどころ挟まっているようで、葵と小夜子の時間軸は全く違ったところで交互に語られている。どちらも完璧ではなく、どちらかというと社会からはみ出してしまう性格。そんな二人が他人とは思えない、という感触を抱きつつ、先へと進む。

_ [買った本]買った本

 ブックファースト渋谷店にて。

 異色作家短篇集、出ましたねー。次回配本も決定して帯に書かれています。わたしは知らないけれど、詳しい人は知りすぎるほど知ってるんでしょうね。そして、本屋さんでその本屋さんが掲載されている本屋さんの本を買うばつの悪さ。

_ [書店話]渋谷に有隣堂の医学書専門店ができるとのこと

告知ポスター  元・アフタヌーン・ティのショップだった文化村通りの店舗だが、1Fは既にauショップになっている。ちなみにその手前(元ダイソー100円ショップ)にはvodarphoneのショップがあって、双方に似た色合いなので客が間違えないか心配だ。

 さて、ここの3Fにはまだテナントが入ってなかったのだが、なんと有隣堂書店が進出するという。しかも、医学書専門店! ワカモノが闊歩するこの目抜き通り沿いに出店するとは恐るべし。というか、医学書ってこのくらいの店舗でまかなえるものなんでしょか。11/19(土)オープン。残念ながら、ここは見てもちんぷんかんぷんなのでレポは無理だと思う。


2005年11月09日 (水) [長年日記]

_ [読書][読み中][TimeBookTown]角田光代『 対岸の彼女(角田 光代)

 うわー、これは構成の妙だなあ。話自体は、多分普通にやってれば普通の話なのだろうと思えるのだけれど、葵の高校時代の話と現在の、小夜子の目線の話が交互にやってきて、それぞれがちょうどいいところで切り上げられるので「ええ、続きはどうなる訳?」ととても気になる。1章の長さも、ちょうどその話に集中したところで終わるので、ぱっと出てくる話が、全然別のものに見えてくる。その切り替わり時の刺激が、心地いい。

 「主婦可」ということで採用された会社の社長は、話しているうちに大学のほかの学科の同期だと分かる。彼女は大学を出てすぐに今の会社を興したのだが最近、業績がはかばかしくないので清掃業にも乗り出すつもりで小夜子を雇った。一方小夜子は、結婚退社して一児をもうけたものの持ち前の性格故か公園デビューにも失敗し、孤独な日々を送っている。ふと見ると我が子も自分のコピーのように人付き合いが苦手らしいことに気づき、こんなことではいけない、と一念発起して働きに出ることにした訳だ。しかし、あれほど「仕事すれば」と言っていた夫は非協力的で、近くに住む義母も「小さい子を預けて働きに出るだなんて」と否定的だ。しかし、掃除の仕事もやってみれば自分に合っているし、会社に自分の居場所もできて、段々と身が入ってくる。反面、自己中心的な夫に不満がたまる。

 今は大雑把で開けっぴろげな葵だが、子供の頃は孤独な日々を過ごしたようだ。何かがいけないらしく周囲からは疎んじられ、いじめを受ける毎日。それに耐えかね、とうとう磯子から母の実家の群馬に一家で引っ越すことになる。将来の見えない街で過ごし、そこで出会ったクラスメイトのナナコは、はじめての友達となる。しかし彼女は周囲からは浮いた存在で、とうとう持ち回りのいじめのターゲットにもなってしまった。自分かわいさに学校では知らんぷりをしているのにも嫌気がさした二年の夏休み、ナナコと伊豆の民宿にアルバイトした後、一緒に家出をしてしまう。

 ナナコは、飄々としていて世の中のどろどろしたところに関わってないように見える。それがうらやましくもあったが、実はそれは、自分が表面だけしか見ていなかったことを知り、ますますナナコとの絆を強く感じる葵だが、二人で放浪したとしてもどこに行ける訳でもなく未来は閉ざされたままでいいようのない閉塞感を感じ続ける。私は、元から田舎にいたから「選択できる未来が無いように感じ」はしなかったけれど、外から見たらそう見えるのかな、やっぱり。

 この、複雑な葵の高校生だった頃の心境もそうだけれど、小夜子の気持ちやその変化、お掃除の細かい様子などなど、驚くほどに描写が細やかで、的確であるように見える。角田光代の作品を読んでいると「ああ、こういう経験を実際にしてきたのだろうな」と今までは感じていたのだけれど、そうではなく(そういう面もあったろうけれど)、人の心を想像したり、物事を具体的に、そして的確に想像し、それを文章にするのに長けている人なのではないか、と感じ始めてきた。なんか、思っていた以上にこの人はすごいのかも知れない。書かれている内容は私たちの日常の延長線上のものであり、何のことはないものなのでつい流してしまいがちなのだが、この作品を読むとやっぱり力量がびしびし感じられる。そして、読者を離さない作品でもあるな、と。

_ [読書][読み始め]『 本屋さんの仕事 太陽レクチャー・ブック005(江口 宏志/北尾トロ/中山 亜弓/永江 朗/幅 允孝/林 香公子/堀部 篤史/安岡 洋一)

 とりあえず、最初の対談だけ読み終えた。書店・出版事情に詳しく、自らも書店員だった経験もある永江朗氏と、中野ブロードウェイにあるサブカル書店「タコシェ」の中山さん、ブックファースト渋谷店の林さんのお話。どちらも行ったことのある書店なので、店内の様子を思い浮かべながら楽しく読めた。いろいろと目を引いた部分があったのだけれど、林さんの「書店員に求められること」は、本の趣味や知識ではなく「本を商品として売れること」というのは目から鱗だった。確かに本は商品だしそれを売って商売をやってるのだから当たり前の話ではあるのだけれど。そして、林さんだからこその言葉だなあ、と思ったのだ。どんなにアンテナが良くても、どんなに知識があっても、そこが書店だということを忘れディープな棚にしたところで、それが売れなければ仕方ない。お客さんに「おっ」と思わせつつも購買意欲を起こし、普通にふらっと来た人にも買ってもらえる書店が、こういった大型書店では特に「いい書店」となるのだろうな、と思う。そして、そういうバランス感覚をきちんと持っている人なのだなあ、と思った。

 あと、ブックファースト渋谷店の立ち上げ時の話も面白かった。当時を覚えてるけど、ほんとに最初は「お話にならない」感じだったもんね。「フロアばっかり広くたって中身が薄くては何もならない」なんて感想を書いたこともあったっけ。私が「すごい!」と思ったのは、第1回目のリニューアルのときかな。品揃えが半端じゃなくすごいことになっていたのだ。この当時も含めた思い出話は、また改めてしてみたい。

 もちろん、タコシェの成り立ち(たこ焼き屋の後に入ったから「タコシェ」(フランス語っぽく)とか)も面白かったし、松沢呉一氏に社長役を押しつけられながらも自分でちゃんと考えて引き受けているところがかっこいい、と思った。そしてこちらも「書店員に求めること」は、「普通に挨拶できる人」というのが、まあ、面白い(笑)。まあ、実際にはそれプラスいろんなことがある方が採用されやすくはあるのだろうけれどね。

 それとびっくりしたのが1日に入荷する本の数。と言っても、多くてびっくりしたんじゃない、少なくてだ。というのも、ちょうど昨日、書店員のちはらさんの日記で

10月後半の点数、聞いたところによればある取次さんでは一日の新刊点数がなんと478点だったとか!(「はさみ、そして新刊点数」 - 後ろ毛に風は吹かないより)

というくだりを読んだばかりだったからだ。この本でいわれている分には、多分2004年のことなのだけれど、1日300点と言われ、それでも「すごく増えている」と言われている。それが、1年ちょっとでここまで来ますか、というくらいで、ちょっとびっくりしたね。これじゃあ、書店員に本のことを聞いても即答は期待できそうにないなあ、と思ったことですよ。


2005年11月10日 (木) [長年日記]

_ [読書][読了][TimeBookTown]角田光代『 対岸の彼女(角田 光代)

 今更ではあるけれど、読了。お昼休みだけ読んで1週間くらいかけるつもりだったのだけれど、どうにも気になって仕事が終わってからもしばらく読み続けたりした。そのくらい、物語と二人(正確には三人か)の行く末が気にかかり、先を知りたかったのだ。

 物語は、内向的で人付き合いが苦手な専業主婦の小夜子がプラチナ・プラネットという会社で働き始めてからの半年間あまりと、そのプラチナ・プラネットの社長で小夜子とは大学の同窓生でもある葵の高校生の頃のエピソードが交互に語られる。この二つの全くかけ離れているように見える物語と人物が寄り添い、絡まり始めるのは、なぜか高校時代の葵とナナコが現在の小夜子と葵が重なって見えてくるせいだろうと思う。内向的な人間は、時折近づいてくる開けっぴろげで人なつこい人物を、少し疎ましく思いながらも受け入れてしまうときがある。それは「うまが合う」ということなのだろうが、まあ、そういう出会いはそうそう現れないのだから出会ったことに感謝しなければならないだろう。しかし、この物語を読んでいる私たちは、どうしてあの葵がこんな風に開けっぴろげでだらしない人間になったのか、段々と不思議に思えてくる。そうなったら多分、著者としてはしめたものだろう。

 女性なら、誰でも経験があることがたくさんこの中に盛り込まれ、自分でも気づかなかったような細かいひだひだの中まで掬いとられていくように思える。小夜子は人の家の汚いものを掃除してきれいになっていくことに快感を覚えるが、それと同じように、この物語を読んでいると、自分の心を磨いて貰っているような気持ちになってくる。心の中にため込んでいた言葉や気持ちがこの中に出てくるたびに、澱のようにたまっていたものが、少しずつ切り取られていくような感触を覚えるのだ。なかなか、こんな風に「自分の半生を顧みるのと一緒に物語が進んでいく」のが、痛い反面心地よく、いわば、今までの人生の棚卸しをしたような気分になってしまった。

 「負け犬×専業主婦の物語」というあおり文句でくくられがちだが、全ての女性に読んでみて欲しい物語だと思った。あまりにも自分に近くてこのようにしか思えなかったが、もしかしたら男性も、似たような気持ちを抱いたりするのだろうか。

 物語の構成も巧みだし、細やかな心を掬いとる心情描写や心の動きも、とても丁寧に書かれている、佳作だと思った。いや、角田光代に脱帽です。

_ [読書][読み中]花井愛子『 ときめきイチゴ時代 (講談社文庫)(花井 愛子)

 講談社X文庫ティーンズハートというレーベル事始め、といった感じの話か。ティーンズハートレーベルは「コバルト文庫の後追いだ」と言われたそうだが、私は世代が違うのでよくは知らない。私自身はコバルト文庫は確かに読んでいたし短い一時期だったが夢中になったのは覚えている。

 彼女は元々はコピーライターだったそうだが、中村うさぎといい、この職業出身のジュニア小説作家は多いのだろうか? まあ、彼女もこの本の中で言っているけれど、どんなターゲットに読ませるのならどんな話でどんなアイテムを用意して、とやる「職業作家」の方が、話は早いし狙って書きやすいのかも知れない、とも思った。ただ彼女は「本も読まない女の子ならこんなもんでいいだろう」と高をくくっているおじさま的やり方には猛然と抗議し、自分でできることであれば、そしてそれが自分の作品やレーベルを盛り立てるものであれば、自分の経験と才能を生かしてよりよく変化させていく。ああ、この人は根っからの企画屋で、自分が生み出すものが商品であることをよーく分かってる人なんだなあ、ということは分かってくる。多くの面では確かに有能な人なんだろうとも見えてくる。

 ただねー、この自慢しぃの口調だけは、あちこち引っかかってその度にイヤな感触を覚える。そういうことを開けっぴろげに言っちゃうのが花井流なのかも知れないけれど、初めてこういうのに会った私はかなり面食らったよ。半分くらい読んでだいぶ慣れてはきたけれど。

 文体の話や装丁、イラストと作家のコンビの鉄則などなど、「ほほう」と思うところや、かえって出版社の頭の巡りの悪さに呆れることもあったりする。まあ、これはひとりの人の見た世界だから他の人から見ればまた違っているのかも知れないけれど、こういった何かのプロジェクトが立ち上がり、軌道に乗せていくために工夫や努力する様を見るのって、結構好きなんだよな。

 で、今はティーンズハートってどうなってるの?

_ [イベント]『宇宙舟歌』刊行記念 浅倉久志×柳下毅一郎トークショー@三省堂書店神田本店

 てっきり昨日のことかと思っていたので諦めていたら自分の勘違いで今日がその日だと知ったのが今朝。しかも、今日司会をつとめる大森さんからは「浅倉久志は十年に一度しか人前に出ない」と聞き、いても立ってもいられなくなった。『宇宙舟歌』もとてもとても面白かったので、そういう話をするのであれば是非聞きたかったし、何よりも(SFに疎いわたしにとってさえも)ずっと昔から一方的にお世話になっていて雲の上の人にしか思えない浅倉さんがどんな人なのか、見てみたかったのだ。

 少し遅れて到着したので二冊目の『どんがらがん』を受付で買って入場手続きをし、隅の席に潜り込んだ。部屋に入った時にご本人を見たら、想像とは違ってとてもとてもちんまりとしたいい人そうなおじいさん! ええ、あの人が泣く子も黙る浅倉先生!? と、ちょっと驚いた。とにかく腰の低い人で、あれだけの仕事をなし遂げているという裏付けがあるから余計にそう思ってしまうのだけれど、自分の仕事を「難しかった」と言う。ラファティの長篇も理解できないことが多く、今回の刊行でメイビーの後に続くのが苗字だというのを初めて知った、といった話をしていた。最初から最後まで「難しい」「恥ずかしい」と消極的な物言いで、それがあれだけ膨大で偉大な仕事をしてきた人の言葉かと思うと、余計にその恐縮具合に驚いてしまう。

 トークショー終了後、サイン会になって、柳下さんには「『宇宙舟歌』とっても面白かったです!」とありきたりなことを話しかけると、とても嬉しそうに笑ってくれた。為書きもして貰ったよ。浅倉さんは、前の人が『宇宙舟歌』の本にサインを貰おうとしていてひどく恐縮されていたのだが、本の後ろ、持ち主の名前を書くようなところに小さく名を書き、大いに迷った末に下に括弧書きで「ラファティのファン」と書いてらした。ご自身も、たくさんのラファティの短篇集を訳しているにもかかわらず、だ! わたしは今日買った『どんがらがん』にサインをいただいたのだが、括弧書きの中には「訳者のひとり」と書かれた。なんという謙遜! トークショーでは浅倉さんに難しいものは全部任されたという話だ。アヴラム・デイヴィッドスンという人の作品は本当に難解だそうで、それを担当されるのはとても大変だったと思う。ああ、それなのにそれなのに。

 トークショーの内容に関してももう少し書きたいけれど、それはまた後で。そうそう、浅倉さん宛のラファティと、ヴォネガットの手紙を見せていただいた。直筆を、会場のひとりひとりに回したのですぞ。こんなに大切なものを! なんというか、とても貴重な時間を過ごさせて貰ったなあ、と思った。

 その後、打ち上げ会場に着いていって浅倉さんと直接お話ができてしまい、舞い上がってしまう。柳下さんとも初めてちゃんとご挨拶できて(そういえば自分が何者かは名乗っていない……)、大森さんもいらっしゃるところで「ラファティのSindbadを訳して欲しい、とお願いしたら、なんか、そういう話も出ていたとか出ていないとか。結構短い作品なので、時間も凄くかかる訳じゃないんじゃないかな、という風に言っていただいてちょっと希望が出てきた。何年か後には読めるといいなあ。

 その他、カザノさんを無理矢理皆さんに紹介したり、『大奥』読みましょう!と力説したり。最後まで迷っていたイベントだけれど、本当に行ってよかったと思う。これは、イベントに参加するたびに思うことではあるのだけれど。

 また、いい翻訳作品が読めるといいなあ。浅倉さんにも頑張っていただかないと! 来年それぞれ3,4冊出るという、奇想コレクションと国書の未来の文学シリーズも、今から楽しみです。


2005年11月12日 (土) [長年日記]

_ [イベント]ミステリチャンネル「闘うベストテン2005」観覧

 またもや三省堂書店神田本店。今日はミステリチャンネルの年末恒例「闘うベストテン」の公開収録に参加するためにやってきた。ミステリ自体はさほど読んでないのだけれど、この番組はブックファースト渋谷店で流していたのを毎年見ていて、夏のミステリチャンネル・アカデミー賞をカザノさん家で見て是非とも一度、その場で見てみたいものだ、と思っていたのだ。この冬からうちで契約しているCATVでも見られるようになるし、これは家で見られるかも。

 見たことがある人は知っていると思うけれど、国内編、国外編ともに30作の候補の中から10作を選び、その中から順位を決めていくというもの。まあ、個性的なパネラーの個性で決まるところが多いので、予想は普通、全くできないだろう。どのミステリベストとも異なることが多いようだ。ときには「これってミステリ?」というラインナップもあったりするけど、これはパネラーの強い推薦があったりするんだろうね。

 国内編は思ってた通りに話が動き(笑)、トヨザキさん大満足。海外編は慈母のような笑顔で「さあ、みんな、闘いなさい!」と(笑)。逆に海外編で燃えていたのが杉江松恋さんで、「これを残してくれないと、ネタ割りするぞ!」と、決死の覚悟。まあ、それぞれなんとか丸く(?)納まったようで、何よりでございました。おそらく、ほとんどこの流れのまま放映されるのだろうね。全部で3時間強の拘束時間だったのだが、収録を見ていると面白くて結構あっという間に終わってしまう。間あいだに短い休憩(パネルを付け替えたりね)もあったりするし、それなりにリズムは良いと思う。

 休憩時間に出版社の方たちと思われる面々が「これが残ってくれないと次が出ないのよー。でもこのメンバーだとちょっと無理かしらー」とか、話し合っているのが聞こえてきた。いい物を出しても注目されないとそれはそのまま消えていってしまうものだからね。でも、そうやって日の目を見ないまま消えていった作品もあるかも知れないけれど、いつかは必ずまた出てくるのではないか、と昨今の復刊ラッシュを見ていると思えてくる。それに目を付けた人がずっと名前を出し続けることもあるのだろうし。

 受付のときに候補作リストとパネリストの方々の空欄の紙とオリジナルボールペンが渡され、その他にペットボトルのお茶をいただいた。太っ腹だ! しかも、帰りにはオリジナルタオルまで貰ったよ。場所を貸してくださった三省堂書店にも還元しなければ、と、とりあえずは興味を惹いた『サルバドールの復活』を購入した。現金はさほど持ち合わせが無かったので、これで勘弁してくださいませ。

 その後は、打ち上げに混ぜていただいた。最初はトヨザキさんの書評講座の生徒さんたちと一緒の卓で色々とお話。ネットウォッチャーの一面を披露してしまった……。やっぱりこんなに知ってるのは普通じゃないのね。途中、扶桑社の方がいらっしゃって大森さんとの話を聞かせてもらう。とりあえず『エンジン・サマー』の早めの刊行を一緒に連呼してみたけど、まだまだ時間はかかりそうですね。「来年の前半とか?」と聞いてみたら渋い顔をしてたから、(来年の)年内に出れば御の字、といったところかも。とはいえ、大病から生還してきたばかりなのだし、身体をまずは気遣って欲しいと思います。それでなくても退院直後から大活躍なのだし。「前に出たヤツは持ってるんで、それを読みつつ待ちますよ」と言ったら「結構訳にも直しを入れるから、かなり変わるよ」と言われたのですが、これは負けず嫌いの性格から来るものでしょうか? でも、それじゃあ新しい方も買って読み比べなければねー。

 そういえば、扶桑社の方はどうも田舎が近い方のようで、年もほぼ同じだと知った。で「それじゃあ古川日出男!」と、当時の古川日出男話(つぅても身近にいた訳ではないから「知ってましたよ」とかそう言う話だけど)などで暫し盛り上がった。あと、郡山のゴミ屋敷。後で録画しておいたブロードキャスターを見てみたけど、どこかは分からないなあ。見慣れない風景だから、近くではないと思う。何となく、大槻町*1とかそっちの方かなあ、なんて思うけれどどうなんだろ。後で実家に電話して聞いてみよう。あ、あと、初めてアライユキコさんと話ができた! いつも遠くから見つめてるだけだったのでとても嬉しかったよ。それと、やっぱりみんなそう思ったんだと知って大笑いだったけれど、スズキトモユさんそっくりさんがミステリチャンネルのスタッフにいるぞ! メンバーが入ってきた時一瞬「トモユさん、なぜ服が変わってるの?」と思ったもの。眼鏡まで似ていた。

 あれこれと話は尽きないが終電が間近になってきたのでお暇して帰ってきた。しかし、あの後みんな、朝までいたのだろうか。タフだ……。

*1 清水台や赤木の辺りらしい。結構馴染みのある辺りだなあ。テレビで見ると分からないもんだ

_ [買った本]買った本

 三省堂書店神田本店にて。収録後に購入。

_ [mono]届きもの

 ということばはあるのだろうか。

 bk1から、予約していた チーズスイートホーム カレンダー2006(こなみ かなた)が届いた。中身を見たけど、チーのアップに単色バック(月によって色が違う)、という形式で、もうちょっとカラフルなのを期待していたので少しがっかりした。まあ、部屋に貼るんだったらこのくらいの方がいいのかも知れない。

 isbn_imageからは ノートン・アンチウイルス 2006。ちょうどリリースする時期に買うようにしてるんだよね。発売したばかりで値引率も高いし、タイミングとしてはちょうどいい。


2005年11月13日 (日) [長年日記]

_ [読書][読み中]シオドア・スタージョン『 輝く断片 (奇想コレクション)(シオドア・スタージョン/大森 望)

 「旅する巌」までとりあえず読了。いやー、なんというか、キラキラしているなあ。20世紀半ばに書かれたものとはとても思えないほどに今もって斬新だし、ひとつひとつが魅力的だ。そして、彼の作品だという痕跡を強く止めているように思える。

 そして、大森さんの訳がこれに色を与えているようにも思う。さほど彼の訳を読んでいる訳でもないのだけれど、共通するのは「つや」だ。滑らかで輝きがあり、それが作品にしっくりととけ込んでいる。だから、美しく魅力的な女性が出てくる作品になると一段と映える気がするよ。各作品についてはまた後で。

 追記。この日は「ニュースの時間です」まで読了。うわわ、「君微笑めば」の負のエネルギーにはぞくぞくした。そして、「ニュース〜」の話の入り組み方には舌を巻いた。これ、短編に近い中編だよ。なのにここまで複雑にロジックを作り込むだなんて。最後の方は完全に私の頭の処理能力をオーバーしていた。

 作風はそれぞれ違っているのだが、一貫して弱者という視点をちゃんと持ち合わせている人だと思う。それが単なる哀れみではなく、作品へと消化できる才能を持ち合わせてるのだから、嘆息するばかり。こういう風に人に伝えられる人になれたらどんなにいいだろうか。

_ [][季節]みしらず柿

みしらず柿  実家から先週末に送られてきたのだが、あまりにも固く甘みもまだ出ていないので1週間寝かせておいた。もうだいぶいい頃になってきたかなー、と時々ひっくり返してヘタの方を見ていたのだが、今日、身が少し柔らかくなっている気がしたので試しに皮を剥いてみた。

 まだまだ固いけれど、お尻の方は柔らかくなりつつあって甘みも出ている。おお、これですぞ、秋の味は。これとジャスミンティでお茶にした。


2005年11月14日 (月) [長年日記]

_ [季節]今朝の空

グラデーション  ふと空を見ると、きれいなグラデーション。冬が近付いて、空の色が澄んできれいになってきたなあ。日の出が遅くなった分、こういう光景も見やすくなってきたし。

_ [言葉]みしらずがき

 昨日書いたときにはてっきり「身知らず柿」だと思いこんでいたのだけれど、ふと不安になって検索してみたら「見知らず柿」が正解らしい。「我が身も省みず枝もたわわに実るから」と聞いてきたのだが、これは俗説だったようだ。JAあいづのウェブサイトにも

藩主より将軍に献上ししたところ「未だかかる美味しい柿を知らず」と大いに賞味された(http://www.ja-aizu.jp/foods/mishirazu/より)

とあるようだ。うーん、知ってるつもりで知らないことって多いんだなあ。

_ [misc]知っているつもりで知らないこと

 先日も『対岸の彼女』の感想で、「人は表面だけを見て判断はできない」と書いたけれど、本当にそうだなあと、つい最近感じる機会があった。その人の表面だけを見て「この人は明るいところだけを見て育ってきたのだろうなあ」と思うのは勝手だけれど(作中でも葵はナナコにそういう感想を抱いていたね)、その感想を相手に押しつけちゃあいけないよな。人間は、複雑にできているからこそ面白いのだし、長く付き合っていけるのだろうと思う。

 読書系の人たちなんかは特に、その人の書評や本の感想でその複雑さにふれる機会は普通より多いのだけれどね。

_ [買った本]買った本

 ブックファースト渋谷店にて。

 2F文芸コーナーには売り上げランキング棚があるのだが、すごいよ! スタージョンの『一角獣・多角獣』が9位に入ってるよ! ブックファースト渋谷店恐るべし。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ ニム [でも同じページに「会津身不知柿酒」とあるし、サイトの違うページでは俗説が書かれているし。うちの母(会津の出)たちはい..]

_ にじむ [なぬー! なんですと。JAでも信用ならぬ、か。確かに、誰が得するか、ですね。 柿ですが、近いうちに会えればお裾分けで..]


2005年11月15日 (火) [長年日記]

_ [読書][読了]花井愛子『 ときめきイチゴ時代 (講談社文庫)(花井 愛子)

 このタイトルの「イチゴ世代」は、ティーンズハートレーベルが立ち上がるときにそのメインターゲットとされた女子中高生の世代呼称を指す。親は団塊世代で、別名団塊二世。その起ち上げ間もない時期から執筆者のひとりとして関わってきた著者の回想エッセイ。

 執筆者のひとり、どころか、彼女は立ち上げ時からしばらく、看板小説家だったらしい。「らしい」というのは、私はこの世代よりも上でとっくに少女小説からは卒業していたので、当時のことを伝聞でしか知らないからだ。そのほとんどはこの本で知ったことだし。先行レーベルとして集英社のコバルト文庫があり、それに近いコンセプトでできたらしいが、世間からは後発故の悲しさか「コバルト文庫の真似」と見られてしまうことが多かったそうだ(このエッセイによるとそれも本当のことのようだが)。しかし、その立ち上げの欲求が自らの内にあるものではないせいか、どうもスタッフは本腰を入れてない様子だ。そのひとつには異なる部署にまたがった編集部であったことも関係してくるようだ。花井文体と呼ばれる「漫画のような」文体の確立と、それによる校正との確執のエピソードは確かに面白い。

 地味な装丁を説得して変えさせ、講談社の看板少女漫画家を表紙とイラスト担当に引っ張り出し、自分の作品を世に送り出すコンセプトを用意周到に立てる著者。それを見る人は「あなたはベテランの編集者のようだ」と言うが「編集者なんて甘っちょろいじゃない、私は広告業界が本業で、そこではこんなものではとても通用しないわ」と自分の手腕にほれぼれとしている。

 ……というのがですねえ、この本の半分以上を占めているのだけれど、はっきり言ってウザい。ああ、こんなこと言っていいのだろうか。確かに彼女はある面有能かも知れないし、動かないスタッフの尻をたたいてここまで持ってきたのはすごいし偉いと思うのだけれど、それを手放しで賞賛できない。なぜだろう? こんなすごい実績を持つひとなのに? 別に、自画自賛を悪いこととは思わないけれど、ここに書いてあるほとんどは「私はここまで頑張ってやってきたのに周囲がついてきてくれなくて、半端にしかできなかったわー」と言っている風なのである。それで、その物言いが、何というか大人げないのだ。もしかしたらこれは私が著者の活躍する姿を見ていなかったから、そのすごさにぴんとこない、というだけなのだろうか。

 それと、文章もとても見にくくて参った。当時の自分の読者を想定して書いているからかも知れないのだけれど、大人をターゲットにするのだったらもうちょっと普通の文章で書いて欲しかった。多分、ティーンズハートではこういった文体でやってきたのだろうが、やたらと読みにくい。総文字数は少ないはずなのに、文章が変なところで細切れになっているので思考が中断される。読点がくるべきところに句点が来たり、「!」マークがやけに多くてテンション高く見えたり。何なんだろう、これは。

 もしかしたら、著者が考えるターゲットに私のような人間は入ってなかっただけかも知れない。間違って手に取ったのが悪かったのかも知れない。でも、確かに面陳されている中では、目立っていましたよ。バックが白というのは珍しいし、そこに赤だからね。でも、この文章は私たちをとまどわせるし、疲れさせる。共感を呼びにくい。なぜなら、文章がどうしても著者の精神を幼稚に見せてしまうから。

 また、最初に断ってはいるが当時あったことに関して敢えて真偽を確かめようとしていないから、ほとんど全部主観になってしまっている。せめて解説などで当時をよく知る人が脇を固めるようなことをしてくれれば良かったんだけどねえ。そうなってしまうと、話半分くらいにしか聞けなくて、それはまるで繰り言のようになってしまう。正直言ってこれは大いなる後書き、に見えるよ。後書きは、ファンは嬉しがるだろうが、一般的な人間には甘えに見えてしまう部分が多すぎる。

 そういう訳で、普通の点数をつけられる内容になるところが、平均以下の印象しか抱けない感想しか抱けないのだった。すまん。

_ [読書][読み始め]ジェレミー・ドロンフィールド『 サルバドールの復活〈上〉 (創元推理文庫)(ジェレミー ドロンフィールド/Jeremy Dronfield/越前 敏弥)

 という訳で普通にいい文章を読むと心が安まるねえ。こちらは先日観覧したミステリチャンネルの「闘うベストテン2005」でパネラーの話を聞いて読みたくなったもの。このパネラーとは杉江松恋さんなのだけれど、愛があってそれが伝わってくるんだよね。ああ、これは読んで絶対に損がないだろうな、と思わせるものだった。まあ、多分私が変な小説が好きだから、なのだとも思うが。

 かつて大学で仲の良かった女性四人が、時を置いて一堂に会する。しかしそれは、その内のひとり、リディアの葬儀の場だった。

 導入部は、視覚的だなあ、と感じる。ある場面がフェイドインして、しばらくして別の場面がフェイドインすると同時に前の場面はフェイドアウトしていく。特に、崖上の男女のエピソードは印象深く、その直後に出てくる場面は、よく分からず不吉な予感だけ抱きつつ読み進めると、そこがどこか分かってきて章が変わって葬儀の場面になる、というなかなか見事な引き込み方だった。

 これは「このミステリーがすごい2003」で1位を取った『飛蝗の工場』の著者の二作目だそうだ。『飛蝗〜』は読んでないのだけれど、確かにこれは面白そうだ。紹介のときに杉江さんは「『レベッカ』を彷彿とさせる」と言っていたけど、既に亡くなっている女性と、彼女が女主人だった城が舞台となると、確かに連想しちゃうなあ。

_ [MySite][tDiary]tDiaryを開発版に入れ換えてみた

 ちょっとあれこれのケアレスミスをしたので、この際……ということで、えいやっと2.1.3の開発版に入れ換えてみた。tdiary.confも変わってるかも、とまっさらなところから始めたんで、なんだかいろいろまだ思うとおりにいってないところがありあそう。リンク元がうまく出ないなんだけど、文字列置き換え設定したのがおかしくなってるのかな? 一旦外してみた方がいいだろうか。それと、RSSを概要のみ配信する機能もついたので試してみたのだけれど、やっぱりISBN情報なんかが出ないとblogmapなどで拾われなくなっちゃうからね。元通りにしてみたよ。

 RSSの内容って、概要のみの表示の場合でも、リンクしているURIなんかは概要に含まれるような形にはできないのかな? それ、PukiWikiでもかねてから考えていたことなのだけれど。それとも、こういうやり方ってフェアじゃない?

_ [時事]紀宮清子の結婚

 うーんと、今は「降嫁」とかは言わないのかな? とうとう結婚してしまいましたなあ。あんな髭を剃っても青々(というか、黒々?)とした男がいいんかっ、とか言いたくなるのだけれど、ホントに好き合ってのことであれば勿論祝福いたします。

 何となく、手放しで「おめでとう」と思えないのは、星野智幸の『 ロンリー・ハーツ・キラー(星野 智幸)』を思い出していたからだろうか。この結婚が決まってから、ずっとそうだった。もしかしたら、この人はこれからの国民の「象徴」となるのかも知れないなあ、なんて妄想したりしてね。考えてみれば、まあ、皇太子に第一子が生まれてホッとしたことだろうけれど、奇しくも天皇家が現在の日本の世相を映しだしているのでは、なんて妄想を抱いてしまうほど、あの人たちの悩みは、ある意味身近だ。なかなか結婚しなかった(できなかった?)長男と長女、結婚したはいいけれどなかなか子どもに恵まれない息子。キャリアを捨てて請われて結婚したのに婚家に合わず抑鬱状態の嫁、優等生だった長男の突然の反乱に戸惑う人の良い両親。酒井順子が『負け犬の遠吠え』でサーヤを「負け犬の星」などと言っていたけれど、そういう生き方を選ばれるのなら、それはそれで面白いことだなあ、と思っていたのだ。逆に、そのようなプレッシャーを受けて欲しくなかったし。

 まあ、その指標という意味もあり、これからサーヤがどのような人生を歩んでいくのか、にもやはり興味がわいてくる。結婚したら即「子どもはどうした」とか言われるけど、サーヤは36歳。果たして、どういう選択をするのだろうか。

 一説には、今日のウエディングドレスは、「カリオストロの城」の蔵リス姫のものがモデルではないか、と言われている。そういえばあの袖の、方のふくらみの部分から袖口に向かってタイトになっていくスタイルや、張りのあるAラインなど、なるほど、と思わせるものがある。因みに、NHKのニュースでご学友が証言していた話から「これはクラリスでは?」とぴんと来た人もいたそうだ。さすがおたく伝説がまことしやかに囁かれているサーヤ姫だ。クラリスと同じ姫だしな。ルパンのような人がさらいにくるのを、昔から夢見ていたのかしら。

_ [季節]急に冷え込みましたな

 昨晩からだいぶこちらも冷え込んできて、今朝はどんよりと空も曇っていました。なんと、1週間ほど前と較べると、半分の気温なのだとか。そうだよなあ、綿のカットソー一枚で外出できてたもんなあ。先週の土曜日は、昼間こそ暖かだったものの日が落ちたら急に冷え込んできて、上着も持たずに出歩いているのが恥ずかしかったもんなあ。天気予報では、今日の天気などは12月上旬の気候だと言っていた。ということは、普通に厚手のコートを着てもおかしくないということなんだろうか。

 どうも、気分がそっちまでいかないので、中途半端なかっこうでいてそのうち風邪をひきそうだ。さっきからは久しぶりに床暖房のスイッチを入れてみた。


2005年11月16日 (水) [長年日記]

_ [読書][読み中]ジェレミー・ドロンフィールド『 サルバドールの復活〈上〉 (創元推理文庫)(ジェレミー ドロンフィールド/Jeremy Dronfield/越前 敏弥)

 いやぁ、この意地悪さ具合が面白い! 再会した4人(もっともひとりは死者だが)は、大の仲良しという訳では無かったのだね。まずはベス(彼女が主人公らしい)がオードリーの姿を見て「学生の頃から体型が変わらずスレンダーであり、服の趣味もいい」ことに憧れと嫉妬を覚えている。そして逆にオードリーの方はベスを見て全く逆の感想を抱くのだ。「ほどよい肉付きで女らしい曲線を持っている」と。もっとも、洗練された着こなしでは無いようだが。また、第三の女レイチェルは、容貌の面からはこの二人に勝ちようがない。おまけに体型は「ふとり肉(じし)で、農家の女のようだ」だとシマルド夫人は見ているらしい。ついでに言えばこのシマルド夫人はかなり高慢な女のようで、まあ、その家の格から言えば当然のことなのだろうが、オードリーを「見栄を張っているけれど痩せこけたふしだらな女」と評する。ベスは、「ああ、あの女が嫁だったなら」と、だいぶいい評価を得ているが、それが幸せなことかどうか分からない。レイチェルは、この四人の中でもちょっと困った存在であったようで、それは年を取って増幅しているようだ。市民運動をやっているらしいが、身体は不潔で、喪服として着てきた服も、だいぶ常識とはずれているようだ。

 オードリーとベスはシマルド夫人の屋敷に招かれるが、どういう訳か(ここ重要!)オードリーの車が故障してしまう。話によれば学生時代の友人が集まるようだから、別行動だったレイチェルもどこかで合流するのだろう。で、その後どうなるのかな? シマルド家の執事*1であるフェヴリエも謎の存在だし、これからがなかなか面白そうだ。冷酷な観察眼と、突拍子もない物語の展開。章が変わったときは何事かと思ったけれど、随分うまい具合に登場人物を紹介するよね、この人は。なかなかの手練れと見た。

*1 あ、でも、執事というのは適当じゃないかも。執事は、独身男性にしかつかないらしいし

_ [Life]石鹸放浪

 少し前にロクシタンボンメールソープミルクを試してみたと書いたけれど、やっぱりミルクの香りが強すぎた。で、松山油脂カミツレ石鹸にしてみた。こちらは可もなく不可もなく。そういう訳でまだ放浪していて今度はオリーブ石鹸にしようかなあ、と思ってまたまたロクシタンに行った。プロヴァンスオリーヴにしようと考えていたのに、結局買ってきたのは、同じボンメールのヴァーベナワイルドローズ。とりあえずワイルドローズを使い始めたのだけれど、香りは思ったよりいいかも。昔から薔薇のフレグランスは抵抗が無いのは感じてはいたのだけれど、これは思っていたよりいい。ミルクでちょっと反省してフレグランスものはやっぱりダメかと思っていただけにうれしいなあ。もうひとつのヴァーベナはほとんど香りは無いはずで、本来はこちらの方が好きなのだけれど、まあ、少しくらいは香りがあってもいいかなあ。

 どうも洗うもので香りがあるのって好きじゃないのだけれど、たまにはこうやって遊んでみたくなってくる。

_ [買った本]買った本

 リブロ渋谷店にて。

 たまにはこっちに。というのも、タワレコに寄ったからなんだけど。渡部直己の文芸批評が、ちょっと面白そうで買ってしまった。いつものごとくといえばいつものごとく、なのだが。


2005年11月17日 (木) [長年日記]

_ [読書][読み中]ジェレミー・ドロンフィールド『 サルバドールの復活〈上〉 (創元推理文庫)(ジェレミー ドロンフィールド/Jeremy Dronfield/越前 敏弥)

 いや、これは面白いですな。ミステリ的にはどうとかってのは分からないのだけれど、このストーリーテリングの力はすごいと思う。あっちこっち飛んでは戻り、といった複雑な構成なのに、とっちらかった感がしない。29歳の現在の葬儀からいきなりアドベンチャー・ゲームの舞台に着てみたり(何となく、前後の関連を彷彿とさせるからこれまた僅かに話が連続している気になったりする)、ふっと大学生だった頃の話になってみたり。ちなみにこの大学生だった場面は、サルバドールやピーターなど、4人にまつわる男性たちとのなれそめなどがあるので、見逃せない。

 それにしてもこの著者は意地悪だねえ。レイチェルの要望が「これでもか」と言うほど貶められている。性格も、いいとは言えない。冷笑的なオードリーにいつも馬鹿にされるようなことばかりやっている。ベスの誕生日パーティの日から回想場面は始まるのだが、レイチェルは自分の実にはならないのに、男性に出会い、紹介するにはとってもいい存在なのかも。ピーターを連れてきたのはいいけどあっさりとオードリーに奪われたみたいだし(オードリーは上昇志向が強く、チャンスが掴めるのなら体を使うのも厭わないようだ)、かねてからのファンだったサルバドールは、後のエピソードで分かるとおり、やはり友人であるリディアとの恋に落ちてしまう。ちなみに、ピーターはオードリーと結婚するらしい。これは、オードリーの苗字を聞いてベスがかなり驚いたことで引っかかっていたのだが、こういった小さな謎の引っ張り方もなかなかにうまいと思う。しかし、ピーターはちょっと自信家過ぎるところがあって、甘えん坊なところもあって、あんまりいい性格に見えないなあ。ちなみに、パーティの翌日にリディアが帰ってくるのだが、彼女の魅力が余すところなく伝わるのではないかと思う。そうして、ベスとの絆も。

 「これでもか」と言うほど細かく人間関係を描いていて、これがどう物語に生きてくるのか(もしくは生きないのか)楽しみだ。しかし、女子同士の人間関係の複雑さがほんとにうまく書けてるのだけれど、この人って女性なの?

_ [MySite][tDiary]十年一日

 tDiaryの「長年日記」機能をつけてみたのだが、一昨日の内容を見て驚いた。私、去年と同じことを書いてますよ。どよーん。サーヤの婚約がちょうど1年前だったんだね。

_ [雑誌]堀越学園「3年D組」20年目の同窓会(「週刊文春」11月24日号)

 本田美奈子.が亡くなり、葬儀の場に元同級生が集まったことからにわかに出てきた思いつき記事なのかなあ、と見えるけれど、なかなか興味深かった。何しろ、本田美奈子.はわたしと同じ年である(誕生日はまだだからね!)。

 表紙近くのグラビアでその同級生の顔ぶれを見てびっくりした。そうか、この人たちが同学年だっけ。

 本田美奈子.、南野陽子、宮崎ますみ、松本友里子(マツケンの再婚相手)、岡田有希子、長山洋子、いしのようこ、倉沢淳美、高部知子、永瀬正敏。この他にも、他の写真を見ると田中久美、桑江知子、グラビアに写っている以外だと、岡村有希子、森奈みはる(宝塚娘役)。長沢ゆりか、倉沢淳美、片岡孝太郎。こう見るとわたしの印象はばらばらで、しかもほとんど同じ年と認識している人がいない。南野陽子はひとつ上だと思っていたので、本田美奈子.の葬儀に列席している様子を見た時、「留年したの?」と驚いてしまったのだ。当時は、売れっ子の芸能人は堀越に通うというのはデフォルトだったもんなあ。今は、それ以外の付加価値も考えて、普通の学校に行かせたりもするのだろうけれど。

 彼女らが同級生になってすぐにあった事件が、高部知子のニャンニャン写真事件。もう、ニャンニャンと書くことさえも恥ずかしいくらいの死語だけれど、そういえばそんなこともあった。当時を振り返って同じく「わらべ」でコンビを組んでいた倉沢淳美が語っているのだけれど、確かにあの当時あの年であんなことが世間にばれてしまったことには想像も付かないほどに傷ついていたに違いない。あの頃は、あまりにもかけ離れている世界で、しかも元から高部知子には不良っぽいイメージがあったので納得してしまっていたが。

 そして、岡田有希子の自殺。ちょうど、大学に入った春で、入学や引っ越しの手伝いで来ていてくれた母と妹が帰ったその翌日辺りにこの事件が大きく報道されたものだから、かなり大きく動揺したのを覚えている。初めてひとりで暮らす心細さと、同年代の女の子の自殺(当時は同じ年とは気づいていなかった)。しかも、所属事務所のビルの屋上からの飛び降りという、衝撃的なものだった。この記事でも大きく取り上げられるのは、本田美奈子.よりもこの二人だ。なんか、80年代ってのを思い出してしまったよ。

 それにしても可哀想なのが松本明子。彼女はひとつ上の学年で松本伊代と同級生だったそうだが、一般の生徒だった人の思い出話でまで

そういえばそのクラスに松本明子もいたんだけど、いつも騒いでいてすっごくうるさかったなあ(p.161より)

という言われっぷり。デビューした時の姿は覚えてるけど、名前が地味な上に当時学校で同級生だった地味な女の子とも同姓同名で、「それでアイドルの名前になるんだ」と驚いてしまったものなあ。


2005年11月18日 (金) [長年日記]

_ [読書][読み中]ジェレミー・ドロンフィールド『 サルバドールの復活〈上〉 (創元推理文庫)(ジェレミー ドロンフィールド/Jeremy Dronfield/越前 敏弥)

 非常に面白い。学生時代のエピソードだと、オードリーは計算高くて出世のためなら何でもする、ような人のようだ。育ちではどうやらレイチェルの方が上らしい。私立学校に行っていたらしく、オードリーを見つつ「公立ではこういうこと(化粧や性的な知識など)を教えてくれるのかしら」なんて考えている。見下しているつもりは全然無いのだろうけれど。オードリーは貪欲な態度から見ても、それほど裕福ではない家庭に育っているように見える。で、そのオードリーがサルバドールの美貌と家柄に目をつけたらしい(笑)。レイチェルの得難さに目敏く気づき、自分から仲直りを申し出るところなど、実に抜け目ないと見える。それと、鈍くさいレイチェルだが、学生時代の彼女を見ると、まっすぐで一所懸命でかわいいよな、と思う。相変わらず容貌に関しては「唯一見るべきものがあるとすれば小さな唇だけ」なのだが、オードリーに化粧して貰い、かなり見栄えがする状態になったようだ。その後、無我夢中でサルバドールを助ける場面があるが、勢い余って暴行事件の加害者として逮捕されてしまうほど高ぶりやすい、というのがにんともかんとも。

 その昔はリディアとベスがお互い親密に話し合ったものだが、現在のパートではオードリーしかいない。晩餐の前に二人でそれまでの報告をし合うのだが、ここを読んでいくとオードリーもそれほど嫌なヤツでは無いかも、と思えてくる。他の人とは勘所が違っているのであまりいい印象を抱かれない質なのだろう。ベスもまた、そんな彼女だからこそ、告白してしまったりもする。

 非常に細やかな心理描写で物語を引っ張っていくすごい力量の作家だと思うのだが、これだけ「普通小説」な部分が長いと、ミステリ好きの人はしびれを切らしちゃうんじゃないかな? リディアの死因と死ぬ前の状況、シマルド家の謎や彼女らの人生など大きくぼんやりとした謎はあるのだが、ミステリとして引っ張っていこうという意志はさほど感じられないように思う。

 まあ、面白いから私的にはまったくもってOKな訳ですが。

 そういえば、今週の「週刊文春」の書評欄でも、池上冬樹が☆4つだった。みんな「ラストが……」って言うんだけど、そんなに瑕疵に見えるものなのだろうか。

_ [時事]同志社大学A教授のアカデミック・ハラスメント事件

 昨日週刊文春を読んでいたらこの記事も目に入り、一通り読んでみた。そういえば、この人に関する告発って以前からウェブ上では見ていたような気がするなあ。ぐぐりつつwikipediaj:浅野健一を読むと、別の件で有名になっているようだな。アカデミック・ハラスメント(セクシュアル&パワー)に関しては、ざくっと見てみただけだからまだ分からないけれど、見つけることができなかった。

 記事を読むと、この人は常習犯だった模様だね。他校の学生にまで手を出そうとしている。

 それにしても、こういう犯罪(だと思う)が無くならないのはどうしてなのだろう。このA教授(って、リンクしてるんだから仮名になってないし)は、脅せば相手は黙っていると思っていた節もある。でも、それを盾に自分の思い通りにしようだなんて、どうしようもない屑じゃないか。多分、そうやってうまくいった経験があるのだろうな。性的犯罪が特にひどいと思うところは、被害者は何らかの点で圧倒的に弱者であるということと、その後のその人の心に傷を付けてしまうからだ。そして、加害者の方はそのことに気付かない(または気付かないふりをしている)。少しは分かっていたとしても、行動にまで起こしている時点で軽く考えていたとしか見えない。セクシュアル・ハラスメントも痴漢も強姦*1も、その点では同罪だ。ある面ではその人を殺しているのと一緒だと思う。それに対する罰がまだまだ軽いのが、いまだに不思議でならない。

 この記事読んで何がびっくりしたかって、この人がメディア論の教授で、メディアと人権に関しても専門にしていたからなんだよな。確かあのブックレットはここのゼミのものだったはず、と昨晩検索してみたら『イラク日本人拘束事件と「自己責任」報道』が出てきた。そうそう、結局まだ読んでないんだけれど、こういうことがあると仕事の面でも信用できなくなってしまう訳ですよ。

*1 こういうことをする輩は、相手を同じ人間だとも思っていないのだろう。まあ、そういう奴らを人間と思いたくはないのだが

_ [仕事]仕事内容のシフト

 先日上司と面談したのだが、今やってるメインの仕事2本を片方に絞ってみたらどうかと言われた。確かに、そういう時期に来てるかも知れない。もう片方を手放すのはとてもとても辛いのだけれど、断然動きやすくなるし、自分のキャリアプランもその方が断然開けてくるので、このチャンスを逃す手は無いのだろう。心情的には今のところに残りたいのだが、そういう話になれば、おそらく異動することにもなる(物理的にいる場所は変わらないのだけれど)。

 今後は、どちらかといえばマネジメント的な仕事になるだろうので、アンテナが鈍り、(ただでさえ乏しい)スキルが落ちるのが怖い。その辺は、ちょっとわがままする代わりに自分でもその負荷を上げることにしようと画策中。やっぱり、自分で触らないと感覚が掴めなくなるんだよな。

 そして、そっちに本格的に専念するとなると、今みたいに中途半端ではいられないので、いろいろお勉強しないと。

_ [本の話][weblog]本屋にて

 遅くなってしまったのと、ちょっと足が疲れていたのと出啓文堂書店渋谷店でお茶を濁した。ここもコンピュータ関連の書籍はそこそこには扱っているので、間に合うかと思って。以前、ブックファーストで見掛けた時は気になりつつもスルーした本で、ちょっと事情が変わって欲しくなったのだがやはり中身を見て感触を確かめたい。で、こちらに寄ったのだが、結果的にはその本はあったのだが、(当たり前ではあるが)ちょっとレベルがわたし向けではなかった。でも、知らない人が読む分には良さそうだったので、関連の人に「あくまでも一般的な例」として勧めてみようかな。

 そこでふと目に入ったのが、別冊宝島の「 このブログがすごい!2005(「このブログがすごい!」選考委員)」だった。へぇー、と思って中を見てみたのだが、ランキングを見ると、もうとっくに停止しているblogとかがわんさかある。こりゃ怠慢だなー、と思ってよく見たら、スクリーンショットが去年の冬だったりする。もしや……と奥付を見たら、なんと今年の1月の発行だったよ。道理でこのランキングの筈だ。見覚えのあるblogも多数あったけれど、その中でもはてなは定着率高いかも。各ブログサービス毎の人気blogが挙げられているのだけれど、今も元気に更新してる率が高いように思える。まあ、他のblogサービスはあんまりチェックしてないせいかも知れないけど。高木さんや東浩紀さんなど既にはてなから出ていった人もいるし、仲俣暁生さんのように一旦仕切り直しした人もいるけどね。

 それにしても、既に漂うこの「懐かし感」。つい、それを求めて買おうと思ってしまったよ。この世界、古びるのも早いなあ。2006年版も出るのだろうか。


2005年11月19日 (土) [長年日記]

_ [webサービス][書店話]bk1のギフト券を入力すると、注文フローの途中で買い物かごが空になる

 昨日の夜に、たまにはbk1で買い物しようかなと、丁度今キャンペーンをやっているのでその期間限定のギフト券(300円)を入れて注文してみた……のだが、注文完了メイルが来ない。注文履歴を見ても入ってないので、おかしいなあ、と思いつつもう一度注文してみた。結果は同じ。その後、発送メイルも来ないしこれは変だとbk1に問い合わせをしてみたところ「注文は入ってません」というカスタマーサポートからの返答が。なんですと、と今晩また挑戦してみたのだが、状況は変わらなかったので、今度はブラウザの問題かと疑い、IEで挑戦しても結果は同じ。

 で、疑い始めたのがこのギフト券。試しに、入れないでOpera8.5で注文してみたら、無事に注文完了まで漕ぎ着けて確認メイルも来たよ。

 途中で買い物かごが空になるので注文完了かと思っていたのだが、それは内容確認であり、その後に決済がある。その直前にかごの中がクリアされるので決済できない、という形のようだ。クリアされてたからてっきり決済されていたとわたしは思い込んでいた。

 ん〜、でも、300円のギフト券だとしても、やっぱり使いたいんだけど、どういう扱いになるかなあ。とりあえず、さっきギフト券抜いたら注文できたことを報告してみたのだけれど。

_ [webツール]blogmapの不思議

 blogmapの自分のサイトのエゴサーチをやっている(リンクを当たり前のようにされるようならやらないのでしょうが、うちみたいにたまーにだと、エゴサーチが効果あるのですよ)のだけれど、ここのところずーっとあるエントリに関する情報(どこかからリンクされたりすると「情報」に変化があるという訳)が頻繁に上がってくる状況が続いている。

『Mint Julep』のサイト情報

1 Item Updated Sat, Nov 19 2005 7:13 PM
[仕事]なんだか忙しかった…

[仕事]なんだか忙しかった… 346 pts [もっと詳しく]
http://bm.que.ne.jp/log/20040109.html#p01

Keep New:
Posted on: Fri, Sep 30 2005 10:11 AMUpdated: Sat, Nov 19 2005 6:54 PM

 この「346 pts」というのがどうも変化があるらしいのだが、別にクリップされるような内容ではないし、実際にblogmapの自分のサイト情報該当するエントリの内容を見ても、ポイントはRSSと違って0のまま。ん〜、これって、実際の情報とRSSの内容がずれちゃってたりするのかな? 確かに一覧だと346ptsになってるんで、何か情報の齟齬がありそうでもある。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ ishinao [blogmapの不具合修正しました。http://tdiary.ishinao.net/20051120.html#..]

_ にじむ [わ、早速ありがとうございます。不具合かどうか不明だったので、他の人はどうなんだろう、という疑問もあってちょっとワンク..]


2005年11月20日 (日) [長年日記]

_ [イベント]文学フリマ

立ち読みコーナー会場風景(1F)  東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎にて、11時から16時。秋葉原に会場が移って2年目。ABCの時は気楽に行けたのだけれど、秋葉原は遠い……。でも、去年と違って今年は天気が良かったから、うららかな昼下がりに訪問してみましたよ。タッチの差で電車が行ってしまい、その後しばらく吹きさらしのホームに立っていたら凍えそうだったけどね!

 会場は、結構盛況の様子。入って左手にパンフレットが用意されているのが分からず、正面のマスコミ受付のところに行って貰ったら怪訝な顔をされた。その場で配置を確認し、行くところをチェック。けど、筆記用具も持ってきてないのでとりあえず頭にたたき込んだつもりが強すぎて逆側からだだ漏れ。位置を確認し、東洋大SF研、慶應大SF研を回る。つきあいが広がってくると、回るところも増えてくるもんだね。東洋大ではバックナンバーを購入し、慶應大では以前に新刊を買ったので、今回はごめんなさいをする。SFプロパーなら全部買うんだろうけどなー。でも、東洋大の「あらすじで読む名作SF(だっけ?)」はちょっと欲しいと思ったよ。いつもu-kiさんのあらすじは聞けるのだけれど、オーソドックスなのは知らないしなあ。

 ここで既にすぐ手前にあったU-KENに行くのを忘れている。そのまま超短編マッチ箱まで行ったら、すぐ横に大塚英志がいた。びっくり。ところで隣にいる女性は……? ここではたなかさんに挨拶し、一緒にいた方に紹介して頂く。が、動転して顔しか覚えていない。済みません。買ってない分とマッチを買っておつりを貰おうと思ったら、「たなかさんのを買いませんか?」と持ちかけられ、それならば、としばし悩んだ末に「子産み」(100円)をいただく。セットで買ってないの私だけかよ、と後でがっくり来たが。これは読んだので、後で感想書いてみます。

 その後螺旋階段を上り2Fに移動して、「へリオテロリズム」の前の号と最新号と特別号「20」を購入。ここは仕上がりもとても綺麗で、他の出展者も「いいですよねー」ときらきらした目で見てましたよ。中身もクオリティ高いしね。えぇと、買うときにボーッとしてて失礼してしまったのですが、売り子をやってらしたのは西東ノブさんでしたよね(違ってたら済みません……)? とんだ失礼をするところでした。

 その後、haruさんと落ち合おうと一旦1Fに移り、立ち読みコーナーに落ち着いた。この立ち読みコーナーの試みはとてもいいね。秋葉原に移ってから始まったのかな? とはいえ、どうもこういうところで私は落ち着いていられない人間で、あまり頭に入ってこなかったりするのだけれど。ここでそれでもU-KENに行ってないのを思い出して向かってみたところ、既に全部売り切れとのこと。がーん。その後、haruさんと落ち合い娘さんも紹介して貰って1Fを軽く回り2Fへ昇ったころで浅暮さんのブースがあると知り、早速行ってみたところ売り切れorz。っていうか、やっぱり下調べやってないのが祟りましたよ。「知ってるところだけでいっぱいいっぱいだねー」なんて思っていたもので。徳間で、「大塚英志は悪人か」(200円)を購入。いでさんは、これに大塚氏のサインを貰ったらしい。恐るべし。

 壁際で知っている人(たくさん)と話をしたり周囲を見つつプロ書き手や編集者の多さにも驚きつつ、満足したところで退散。ところで、神林長平がいたらしいのだけれど私は全然見たことも無いので気付かなかったよ。

 話によれば、開場11時のところ、10時から行列ができていたらしい。桜庭一樹×桜坂洋の合同本目当てなのかな? やっぱ、今度来るときはせめて午前中に来ることにしようと心に決めました。とほ。

 その後神田のベローチェに移動してまったり話をしつつ、途中で算数の図形問題なんぞをやってるのを覗き見たり、収穫物を読んだり交換したり。そんなことを夕方までやった後、渋谷に移動してブックファーストで本のシャワーを浴びた。haruさんの娘さんは、ここに来ると欲しいものが何でもあるから好きなのだそうだ。憧れなんだとか。私も同じ理由で好きなんだよ!

 とりあえず、大人しく帰宅してロールキャベツを作ってみた。う、やっぱりパン粉をつなぎに入れれば良かった。ちょっと具が硬くなってしまったなあ。でも、ナツメグを忘れずに入れたら風味よく仕上がったよ。

_ [買った本]買った本

 bk1より。13時ちょっと前に出荷のお知らせが来て、その日の夜着いたよ。すごいな。

 えーと、で、あのギフト券の割引は効かないのかなあ。とりあえずカスタマーセンターの返事を待つ。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ いづる [初めまして。『ヘリオテロリズム』に作品を寄せた者です。 どう読まれるかとても心配です。 本題ですが、自分もお顔を拝..]

_ にじむ [いづるさん、はじめまして。お名前は執筆者の一人として存じています。わたしごときでは大層なものではないので、そんなに畏..]


2005年11月21日 (月) [長年日記]

_ [雑誌]今週のAERA巻頭記事に、はてな

AERAの記事  「対話力が仕事力決める」という記事に出てて、いきなり見開き写真。そうか、今はあのスチール棚でミーティングできないほどに人員がいるんだなあ。「近藤淳也社長(30)」というのを見ると、ああ、三十代になったんだなあ、と感じる。あまりにも落ち着いているので、とっくに三十代になってるような気がしてましたが。例の朝の会議のPodCasting化と、「フリーフリーアドレス」について出てました。

 それのサブ記事で「対話力ないと下流人」の記事が。案の定、キーマンは三浦展氏の模様。

 いやナニ、Wikiばなの後の宴会で「新聞に載ったらもうブームも終わりだよねー」という話をしていたのだが、ふとネタとして思いついたので「AERAに載ったらもう終わってる、ってのは?」なんて言ってたところだったんで、つい「載ってる!」と興奮しちまった訳です。

 まあ、でも昨日他の人と話してるときに聞いたけど、まだまだ「はてな」と言っても世間の認知度は低い。この界隈が高すぎるだけで。「どこのblogで書いてるの?」と聞かれて「はてなで……」と言っても通じないらしい。自分のIDだけ言えばいいから楽だと思ったそうだが。

_ [weblog][マスコミ]YOMIURIウィークリーデスクの記事が炎上?

Cash Advance | Debt Consolidation | Insurance | Free Credit Report | Cell Phones at Hontsuna.net( via Ʋ2nd - ߤʤǤɤ褦)

 ん〜、その内容自体(語られていること)にも問題は大ありなのだけれど、一番の問題が、当事者自身がこれを書いてないことを問題だと思っていないことだろう。

 「視聴者が一目で分かりやすいように映像に映る対象物を操作する」こととこのことは、どこかでリンクしている気がしてならない。キーワードは「ふたつの視点」ではないか。記者自身が見る視点と視聴者が見る視点が違ってて当然と思っているから現状を操作するようなことが平気でできてしまうのだろう。そして、今回書かれた問題も、記者仲間では散々話されて同意を得てきたことなのではないか。それを、記者仲間以外に披露したときに初めてそれが「当たり前」ではなかったことを知る(多分、もう気付いているよね?)。この後、このデスクがどういう対応をするのかは分からないが、何となくこの辺りにマスコミの人々のblogが炎上する一因があるのかも、と感じた。

 勝手に作った二重底なのに、自分で二重底だったことを忘れてしまう悲劇なのではないかと。

 あのMの部屋が撮影前にかなりいじられていたらしい(整然としていたはずのものが散らかされ、乱雑な部屋になっていたり、今回書かれているように「いかにも」やばそうな雑誌やビデオがカメラに映りやすいように置かれていたり)ことは、大塚英志の『「おたく」の精神史』で知った気がする。だから、そのこと自体は何の驚きも無かったのだけれど、こういう情報感度の摩耗(これは自分の)もまた問題かな。

 もちろん、これは(マスコミの人間ではないが)書く側にいる*1自分自身にも返ってくる問題だと思う。

*1 これは書く側と読む側がきっちり分かれている訳ではない。場によってその関係性はまったく変わってくるものだと思っているし、私が想定しているのは主に自分のサイト上でのことだ

_ [tDiary]TrackBack受けられるようになりました

 ishinaoさんにご指摘いただいてた「TrackBack受信に失敗する」件ですが、先ほど解決しました。本体を新しいバージョンにしたときに、tDiaryの実行ファイルが置かれているところにあるtb.rbを旧バージョンのままにしておいたのが原因でした。これはそうか、プラグインディレクトリからコピーしなきゃならないんだっけ。

 ただ、送信がまだできない。まあ、こっちは困るのは私だけだから、気長に実験しよう。

_ [webサービス][書店話]bk1の期間限定ギフト券不具合のその後

 先週の金曜日から土曜日にかけてトラブっていたbk1の期間限定ギフト券利用だが、先ほどカスタマーサポートからメイルでの連絡があり、誠実な対応をしていただけることになった(と言っても額面以上に何か、ということではなく、本来ならば利用できたはずのギフト券の金額分の返金という形)。

 現在は不具合も直っているようなので、通知が来ている人は是非利用して貰いたい。しかも、11月23日〜27日はスペシャルバージョンだ。ウェブサイトにはアナウンスしていないところを見ると、今までにショッピングで利用したことがある人(かつbk1からのメイル送信を許可している人)には来ているのではないかと思う。

_ [イベント][wiki]Wiki小話Vol.3

会場風景(質疑応答)  Wiki小話も今回で3回目。Wikiばなとはちょっと違う顔ぶれになってたりして、なかなか面白い。それと、長髪率が上がるような気がするのだけれど、気のせい?

 今回は前回と同じ場所ではあるのだけれど、開始が30分早い。おそらく前回ぎりぎりまでやってたら「終わるのが10時じゃなくて閉館が10時」と矢の催促がやってきたのと、終了後に懇親会を予定していたせいかと思われる。私は、オフィスからほぼ1時間でたどり着いてぎりぎりセーフだったけれど、そもそも開始時間を前回と同じと勘違いしてて遅刻する人多数(笑)。スピーカーのetoさんご自身が、わたしの直後くらいに到着したくらい。

 内容は、AsOさんのところがリアルタイムにこくばんで書かれていて、NTさんのところは早速自分で調べたところも含めてまとまっているので、理解力が不足している私が重ねて書くことは無いだろうと思われる。ので、感想や印象に残ったものなど。

 今回のは、10月にサンディエゴで行われた、WikiSym2005というWikiに関するシンポジウムの報告会。

 Ward CunninghumのWikiの思想は、揺るがないんだなー、というところかな。「Wikiの思想はいいんだけど、実際運用してくるとそういう訳にはいかなくなるんだよねー」という感じでそのための仕組みをいろいろ実装したりの方向に行くのが普通なのだろうけれど。それと、これは『Wiki_Way』の中でも貫かれている思想だと思うのだけれど、「匿名性はリファクタリング(refactoring)を和らげる/署名がリファクタリングを妨げる」というもの。人は署名を残したがるが、そうしなくても言いように書くよう努めなければならない、と。「Wikiはコミュニティを生み出しうる作品」とも言っている。それと、Wikiの管理に関してだが、自分のポジションに関して自分のページを作って書いておくことを勧めている。これは以前にp-note(http://www.p-note.jp/*1)でやっていたことに通じるな、と思った。その行為がコミュニティを作ってたとも言える。そして、なんだか増井さんがやりそうなネタだが、spamチェックの目的もあり、同一IPアドレスでどのくらいの頻度とバイト数の書き込みがあるのか表にしてチェックできる仕組みも作っているようだ(CountPostByHour、とか?)。

 セッションは、ペーパーセッションとパネルセッションに分かれ、etoさんは自分自身がペーパーセッションのスピーカーだったのでこちらにずっといらしたのだとか。一方、パネルセッションはいきなり質疑応答から入るというイレギュラーな展開で、しかも会場の参加者同士の意見が白熱してしまい、壇上の錚々たる面々を放ったまま8割は話してたそうで「ある意味Wikiらしい(etoさんの言)」状況だったということ。

 ペーパーセッションに関する報告をセッションごとに。ただ、これらを聞いてて思ったのが、発表者や参加者がWikiに関してどのように考えているのか、どのような立ち位置なのかが見えてこないなあ、と思った。etoさんのquickWebに関しては、もうちょっと反応があるかと思いきや、無反応に近い反応だったとか。カナダからの出席者は「日本ではそんなにメイルに依存してるの? カナダでは至るところに情報端末(?)があるから、ウェブにアクセスしちゃうよ」みたいなことを言われたのだとか。これは、何か認識のずれがあるようには見えるが、確かに日本人はメイル(特に、携帯電話での)が好きだなあ、とは感じた。四六時中メイル打ってるもんね、しかもいわゆる「女子供」と言われる層の人たちが率先して。それと、Wikiそのものよりも、そこにアドオンしたJavaScriptの機能なんかに注目が集まったらしい。

 それと、etoさんが興味を引いたのは、WikiGatewayの発表だったようだ。wikicp(Wikiページを丸ごとコピーするコマンドラインのコマンド)とか、WikiとWebDAVの組み合わせでファイルシステムのようにWikiをあつかったりとか、とにかく間に何かをかまして別のシステムとの連携を模索しているっぽい。例として出てきた「あくまでもMoinMoinとして振る舞うが、実は中の人はMediaWiki」なんか、塚本さんが前回のWikiばなで話していたり、今月のSoftwareDesign誌に書いた「未来のWiki」っぽい感じだなあ、とちょっと思った。このセッションの人は「最終的にはWikiGateway自体が無くなることが目的(全てのシステムがシームレスに動く……究極的には、入力者・閲覧者は道具を選ばない、という感じ?)ということで、これってSambaと言ってること同じだよね、というetoさんの言葉に深く頷くのであった。

 それと、BoFの話。全部で5つのテーマで話し合われてたということで、etoさんが主にいたのはWikiの標準化(!)の集まり。WikiAPIとか、AtomAPIとか。何が標準となるのか。別の集まりの「未来のWiki」が面白そうだったのだけれど、会場が暗くてちゃんと写真が撮れなかったのだとか。横に時間軸を引き、どの辺りにどんなWikiが出現するか、どんなことになっているか、をポストイットに書いて貼っていく形。(flickr(tag:cyberneticroadmap))

 Speed Demosの説明ではすっかり大部分の人が騙されてしまったけれど、「俺のWikiが最速だぜ!」と動作速度を競う場ではなく、事前エントリ無しのセッションのことらしい(笑)。それと、ひとつの部屋でそれぞれのラップトップPCで行う複数のWikiのデモがあったのだとか。

 このWikiSymだが、一応持ち回りになっていて、来年はデンマークで行われるらしい(OOPSLAと一緒に、だっけ?)。日本に来る目は無いのか利いてみたら「理想的だね」とは言われたけど、やっぱり精神的(もしくは言語的)な距離や壁がネックになりそうだ、とのこと。逆に「日本ではこのような催しはあるのか」と聞かれて「シンポジウムの形ではないが、個人的に集まってWikiに関して話し合われる機会は結構頻繁にある」と答えたのだそうだ。日本でWikiSymを開催するという可能性……。そして、日本発のWikiクローンが海外に遠征する可能性……。etoさんの感触では、日本のWikiは、決して世界の中で遜色が無いレベルだと言う。この辺、続く懇親会でもちょっと話をしたのだけれど、どのくらいアカデミックなレベルに持っていけるか、なのかなあ。

 このWikiSymレポートは、来月発売の「SoftwareDesign」1月号に掲載されているそうなので、参加できなかった方もされた方も、是非お読みくださいませ! アンケートはがきで感想を書いてくれるともっと良し、らしい。

懇親会の乾杯  東新宿から民族大移動で西新宿のピッチファー2ndにて懇親会。到着が22時頃ですぐに即ラストオーダーということで、この店を紹介してくれたおぎのさんにオーダーはお任せした。出てきたものは、辛いけどおいしい! トムヤムクンと、もうひとつ白濁したスープが出てきたのだけれど、白いのはココナツミルクでは無いかと期待してこちら側をいただく。うまい! ちょっと辛いのを食べた後の空芯菜の炒め物、うまい! 蟹と卵のカレー炒め(?)、卵がマイルドにしてくれてうまい! 最後に出てきたカレーがこれまたうまい! とてもいいお店でした。しかもお会計はひとり頭2,700円。なんか辛い辛い言ってて中身のあることをあまり話してなかったような気がするけど、まあいいや。楽しかったし!

 次回は、12月中に行われるとのことで、こちらも楽しみです。詳細は後ほど発表されるのだとか。

 スピーカーのetoさん、懇親会幹事のyucoさん、裏幹事おぎのさん、受付の清水さん、主催の塚本さんたつをさん、出席された皆様、お疲れさまでした&ありがとうございました。

*1 現在は閉鎖。はてなに移動した後はあまり更新されてないようで残念だ

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ yuco [http://www.zakzak.co.jp/top/2005_11/t2005111920.html この内容を..]

_ にじむ [http://yomiuriweekly1.hontsuna.net/article/1578698.html しか..]


2005年11月22日 (火) [長年日記]

_ [買った本]買った本

 リブロ渋谷店にて。

 前川つかさは、彼のお父さんに聞いて知った人。日本画家なのだが学校で美術をの非常勤講師をやっていて、その授業をとっていた。ある日ちょっと恥ずかしそうな誇らしげな顔で「実は私の息子は漫画家なんですよ」と言ってきたのだった。結局、その漫画家が誰か知ったのは、大学に入学して大学近くの定食屋で漫画を読んで、なのだけれど。あったかーい作風に、なんか和んだもんなあ。

 因みに大学の冬休みには2年間、地元駅前の民芸品屋さんでバイトしていたのが、ここはギャラリーを併設してて、美術品も売っていた。趣味で外国の布地(アジアとか?)とか、元々の商売の眼鏡屋さんもやってた変な店だった。ある日別のフロアの掃除をしている時にこの先生の作品を偶然見つけた。源氏物語(だったと思う)の絵柄を入れた貝絵2枚だったのだが、すごーく欲しくなって結局その年のバイト代をはたいて(って、2万円程度だったけど)買ったんだよなあ。今も宝物です。

_ []ロールキャベツのあまりで具だくさんスープ

キャベツスープなんだけど……  日曜日にロールキャベツを作ったのだが、昨日は帰るの遅かったし今日も遅めになってしまったので「もしや」と鍋を見たら、スッカラカンでしたよ。最初の日しか食べてない……。このくらいに馴染んできておいしくなるのに。

 悲嘆に暮れてばかりもいられないので、残り物に少し買ってきたものを併せて具だくさんスープにした。残ったキャベツをざく切りにして、人参、しめじ、ベーコン、ポークウインナーを投入。マギーブイヨンとローリエで風味を付けて、トマトのホール缶をがばっと。それとトマトピューレの余り。火が通っていい感じに馴染んできたら塩胡椒で適当に味付け。これで出来上がり。……なのだが、欲をかいてここにリボン型のパスタを投入してみた。蓋を開けたら、ウインナー(2つに切ったのに)が爆発していた(笑)。これで立派な夕飯になるぞー。

 ロールキャベツを作ると必ずキャベツの中の方が残るので、こういう感じで適当に処分しております。味は、そのときによって適当。今回はトマトピューレが余ってたからトマト味になっただけ。

 乾燥バジルをぱらぱらと振りかけたら、いい感じに風味が出たようでとても満足。トマト味にはバジルが合うんだねえ。

_ [イベント]『日本文学ふいんき語り』出版記念トークショーがあるらしいよ

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 今月29日に、『 日本文学ふいんき語り(麻野 一哉/飯田 和敏/米光 一成)』というのが出る。『 ベストセラー本ゲーム化会議(麻野 一哉/米光 一成/飯田 和敏)』の面々でもう一冊作ったということで、前作を積読状態にしているくせについついbk1で予約してしまった。あ、bk1で予約すると、特典として執筆陣の特別エッセイが後日送られてくるらしいよ。

 この本の出版を記念してトークイベントをやるらしいのだが(詳しくは最初のリンク先を参照)、あの長嶋有さんと、Webやぎの目でお馴染みの林雄司さんがゲスト出演するらしいですよ!

 ゲームかぁ、わたし、ゲームやらないし詳しくないからなあ、と本を買うのも躊躇してたのだけれど、購入予約したし、長嶋有氏もゲストに来るということでちょっとぐらついている状態でございます。年の瀬も押し詰まった時期なんですけどねえ……。


2005年11月23日 (水) [長年日記]

_ [読書][読了]ジェレミー・ドロンフィールド『 サルバドールの復活〈下〉 (創元推理文庫)(ジェレミー ドロンフィールド/Jeremy Dronfield/越前 敏弥)

 夢中になって読んでたら、夕ご飯を作るのが20時過ぎになってしまったよ。

 いや、これ面白いですよ! 色んな形式や素材が入り乱れた長大な物語なのだけれど、過去(大学時代)と現在とサルバドールの過去の3パートに大きく分かれながらもそれがラストに向かって収束する様がたまらない。途中で意味不明な挿話や誰が発したか分からない独り言パートがあったりするのだけれど、最後まで読むと段々分かってくるね。騙されたー、と思ったのが、元ナチだった男の話かなあ。いやはや、ぐりっとひっくり返った感じ。

 ラストがなあ、とみんな言うらしいんだけど、ミステリとして見るからなんじゃないかな。なかなか面白い(けれどおぞましい)展開で、わたしはこの小説に大満足でしたよ。

 ところで、この作家は男性なのでしょうか? どうも作品を見ても女性っぽい感触がするんだけど、男性だとしたら随分人の心を掴んで描くのがうまい人だなあ、とおもった。女同士の友情がね、これまたいいんですよ。あんなに浅ましいと見られていたオードリーが終盤、大活躍だし。

 解説で杉江松恋さんが書いてるけど、この小説はフランク・ザッパ理論の影響がとても濃いらしい。この文章の中で解説されてるけど、確かにそれっぽくも思えるなあ。因みに、ちゃっかりこの小説にはザッパ自身が登場している(笑)。

 あ、でも、こりゃもうミステリの範疇ではないのだけれど、肝心の「サルバドールの復活」ネタが回収し切れてないかな、とは思った。途中までは説明つくのだけれど、どうして瓜二つの、しかも音楽の才のある息子が生まれたのか、と。もうこれは、マダムの執念と言うしかない?

 迷ってる人、積読の人、手に取ってみてはいかがかな。読みはじめたら止まらないと思います、きっと。

サルバドールの復活〈上〉 (創元推理文庫)(ジェレミー ドロンフィールド/Jeremy Dronfield/越前 敏弥)


2005年11月24日 (木) [長年日記]

_ [読書][読み始め]マイケル・マーシャル・スミス『 みんな行ってしまう (創元SF文庫)(マイケル・マーシャル・スミス/嶋田 洋一)

 今朝から読み始めたが、現在は2作目の「地獄はみずから大きくなった」。これは、今のところはSF寄りっぽいお話。天才が3人集まってあるシステムを作ったところ、それが世界の崩壊のきっかけとなる、といった感じなのかな。この話の舞台の現代は、かなり壊れつつある世界のようだ。そして、親友のフィリップは既に死んでしまったらしいことも分かる。

 表題作の「みんな行ってしまう」を最初に持ってきているのだけれど、きれいに収束しない、ちょっと奇妙な味わいの話だ。最後のところでぐっとトーンが変わる。背の高い男・トムは、未来の世界から来た「いなくなった友達」? この男は実体? そして、どうしてここに戻ってくるのか。昔、団地に住んでいたせいか、この「行ってしまう/取り残されてしまう」感覚は、何となく分かる。そんなこと言ったら、人生の中で知り合う人それぞれがパッセンジャーな訳だが。

_ [本の話][webサービス]はてなリングでウェブリングをつくってみたよ

 ふと思いついて、ノンジャンル読書者のウェブリングなるものを作ってみました。参加はご随意に。こういう風にならば普段ばらばらに存在してる人も見えてくるかな、と思って。

 それと、自分をそのウェブリングに登録したらメイルが送られてきた。

以下のURLより承認もしくは拒否を行ってください。

って、承認/拒否形式じゃなくしたんだから、それ用のメッセージを用意しておいて欲しいものだなあ(苦笑)。

 画像はいまのところ保留中。何かネタがあれば、作成してみます。

 今までウェブリングなるものにはほとんど意義を感じて無くて(「何かに自分をカテゴライズする」という意識を避けていたのかも知れない)、実は多分、自分でウェブリングを持つ、なんて考えたのはこれが初めてのような気がする。

_ [本の話]安倍麻美が処女小説出版……

安倍麻美が小説家デビュー!写真集も同時発売!

 安倍麻美というと安倍なつみの妹ということと、姉とは所属プロダクションが違うということ、辛酸なめ子が注目しているっぽいことくらいしか分からないのだけれど、何だって、小説家デビューだって?

バカみたい。(安倍 麻美)』  ……ふーん。何でタイトルに句点をつけるんだ。今は日本全国これが当然になってしまいましたわね。恐るべし、つんくの威力(つんく自身も「つんく。」にしたんだっけ?)。

 yoshiに影響を受けた、というところで中身も何となく読めてしまうような気がするのだけれど、多分『Deep Love』のように立ち読みで最後まで読めてしまうんだろうな。あれを読めば「私も小説家になれるかも」と俄然やる気を出す人が出てきても仕方がない。そういえば2年ほど前には佐藤江梨子も小説家デビューしてなかったっけ、あの紛らわしいタイトル『 気遣い喫茶(佐藤 江梨子)』(みんな「遣」を「違」と誤読していた)のヤツ。amazonのレビューを見てみるとなかなか面白いな。酷評している人も、星2つはついている。まあ、ある意味インパクトがありそうだな。一番下のレビューがなかなか強烈だった。ちょっと、読んでみたくなった(笑)。

 安倍麻美のは、ある程度内容も予測できるのだけれど(いわゆるアイドルの範疇をはずれない、ポエムっぽくてふわふわ感漂うものだろう)、どういう言語感覚をしているかを見るのは、なかなか面白いかも知れない。

安倍は「何度もくじけそうになったけど、みんなの励ましがあって最後まで書き上げることができました」と感謝。「麻美の気持ちが少しでも読んでくれたみんなの心に届けば」と話している。

 くぅー、たまらんね、このアイドル的発言。やっぱアイドルは、自分のことを名前で呼ばなきゃダメなんかね。これがあると一気にアイドルっぽくなるよなあ。

_ [買った本]買った本

 bk1より予約本到着。

 さて、地雷か、それとも案外まともなのか。

_ [mono]切り裂きバッグ

 そういえば、先日ふと気が付くと、通勤で使っている鞄の脇部分に、長い切れ目ができていた。最初は「モノを入れすぎて布が耐えきれなかったかー。やっぱり布じゃダメかな」と考えただけだった。普段は皮製の鞄を買うのだが、このときはちょっと血迷って帆布っぽいのに皮でアクセント付いているのを買ってみたんだよな。

 で、よくよく見ると、自然にできた切れ目というのではなく、何となく、鋭利な刃物で割かれた様子がある。これはどういうことだろう、といぶかしんだのだが、もしかしたら貴重品を盗ろうと行ったものかも知れない、ということだ。普段は背中側にくるサイドだったし、そんな盲点になるところに財布などを入れる訳ではないのだけれど。何が目的だったかは分からないけれど、鞄以外にはさしたる被害はないことが確認された。

 それにしても、最初に気づいた時は「だれかに恨まれてるのか?」と思ったわたしの神経はどうなっているのだろうか。

 翌日から以前使ってた鞄に変えて出勤してるのだが、入館証がその鞄の内ポケットに入っていて、ついつい持っていくのを忘れてしまう。とりあえず、先ほどようやっと入館証を今の鞄に移しておいた。

_ [Life]誕生日ですた

 そんなに珍しくないもんだからどうでもいいし自分でもこの手の記念日は忘れつつあるのだけれど。mixiでは色んな方に声を掛けていただきました。

 これから1年の抱負は、仕事を頑張ること、かなあ、やっぱり。ある意味正念場なので、自分の価値をちょっとでも高めておきたいなあ、と。あと、健康と、家の片付け(これって抱負?)。

_ [書店話][webサービス]配送の速さはbk1最強ですよ

[net][store][book] 配送はbk1最強?(from Alisato's 本買い日誌)

 ええ、私もそう思いますよ。確実にそのものが欲しければ、必ずbk1に頼みます。逆に、amazonで頼むのは、届くのが多少遅れても痛くもかゆくもないものばかり。いや、これだけ積ん読が多けりゃ他に読むもの沢山あるだろ、と言われそうだけれど、きちんきちんと来ないのは、やっぱりストレスが溜まるのですよ。特に、うちみたいにマンションの宅配ボックスが設置されてなかったり常駐(少なくとも昼間は)の管理人さんがいないところであれば、それは切実でしょう。

 とても大変なことだと思うのだけれど、ちゃんと約束通りに発送してくれるのは、やっぱり素晴らしいサービスだし何より「信頼」ですよ。っていうか、これさえも無くなったら、利用する意味ありませんて。リニューアル後、明らかに書誌データが出るのが遅くなったし(これは以前に散々、書誌情報が早いのがbk1の魅力だ、と言ってきたのに……)。あと、梱包が相変わらず丁寧ね。先日買った分は版型がまちまちだったため、動かないように隙間に詰め物がされてました。今日一冊のみ届いたものも、ビニールで、これまた丁寧に包まれていて、こうやって扱われる商品の幸せを感じますですよ。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

_ shino [>切り裂きバッグ ぎゃー。こわいですね。でも何も取られてなくてよかったです。 わたしは最近、リュック使いが多いので、..]

_ ゆきち [> やっぱアイドルは、自分のことを名前で呼ばなきゃダメなんかね。 今度から一人称を「にじむは...」に変えればいいじ..]

_ hyuki [お誕生日、おめでとうございます!]

_ にじむ [>shinoさん こわいですよねー。いや、ほんとに未だに目的は不明なのですが。初めてこんな目に遭いました。貴重品は目..]


2005年11月25日 (金) [長年日記]

_ [mono]浮かれてます

 実は今日は、京ぽん2が到着する日なんですね〜。WILLCOM STOREで予約していたのが、昨晩の20時過ぎに出荷の連絡メイルがありました。すっかり「翌日」という言葉にとらわれていた私は今日届くという嬉しい誤算に、喜びは3割増しでございます。仕事が終わったら速攻で家に帰りたいところではございますが、今日は人に会う用事があって帰りは遅くなりそう。それまで触ることができないのが、とても残念です。

 機種変の手続きで、昨日からPHSが使えない状態なので少々不便ではありますが。

http://plusdblog.itmedia.co.jp/willcom2005/

 モバイル情報で有名なmemn0ckさんのWILLCOM新製品レポート。+Dにも進出です。

追記

 配送はヤマト運輸なのか。伝票番号しか記されてなかったので、分からなかったぞ。mixiのWX310コミュで知った。

 自分の番号で調べてみたら、既に11時過ぎに配達完了とのこと。おおー、楽しみー。

 そういえば、シルバーは発送が遅れてるとのこと。週末に来るのかねえ。私は、オレンジにしたかったけれどこれだけ発売が5日遅れなので、ピンクにしてみた。元々、ツートンカラーはいかがなものかと思っていたので、これで良かったのかも。

_ [読書][読み中]マイケル・マーシャル・スミス『 みんな行ってしまう (創元SF文庫)(マイケル・マーシャル・スミス/嶋田 洋一)

 ああ、これはなかなかいい短編集だ。長さはまちまちだけれど、それぞれが面白い。何というか、生と死のあわいの出来事が多い気はするな。

 「地獄はみずから大きくなった」は、どういう形で展開するんだろう、と思っていたら、なるほど、確かに「みずから」な訳ね。前半はSFだが、後半、がらりとホラーになっていた。自分たちの才を信じ、それに酔っていた三人の若者が、それぞれ違う末路をたどる。一番最後まで残った「わたし」は、ディストピアの風景の中生きながらえることになるが……。自分たちのしでかしたことに、ことが大きくなってから気付くというのは何とも皮肉。そして、最後に「わたし」が見たものが、なんとも痛切。全てが「若さ故」の出来事ではあるのだが、それだけでは片づけられない罪。

 「あとで」は、冒頭の描写から大体の展開は読めてしまうのだけれど、展開とかワンアイディアに頼らないところがこの人の特徴なのかな。その過程が読ませる。こんなに短い話なのにね。病を得た人間、どこかの機能を失ってしまった人間と、死んだ人間の境目はいったいどこに?と考えさせられた。「地獄は〜」もそうだけれど、何にも代え難い存在として恋人を復活させようとする気持ちって、これは宗教的に見るとどうなんだろう? いや、日本だと普通に考えそうなものなのだけれど。

 「猫を描いた男」も、まあ、広場の描写のところで大体の展開は読めてしまう。石畳に描かれた猫は、ただの猫では無かったという訳。トムの

(自分の絵を簡単に人に売ることができるのは)自分をどれだけその絵の中に塗り込めるかの問題だろうと答えた。……売り物の中には彼自身のほんの小さな一かけらしか込められていなくて、それはつまりビールに金を払うのと、ジャックのバーにいるおれたちと同じこと(p.84)

という話が興味深い。そして、案の定このせりふが後半生きてくる訳だが。

 という訳で、現在「バックアップ」に入ったところ。全体的に、短編小説がむちゃくちゃうまい、という印象はない。でも、この短い中でよくこれだけの情報量を詰め込める(しかもそうとは感じさせない)なあ、と言うことに感心する。

_ [webサービス]はてなリング「ϤƤʥ - Υ󥸥ɽԤΥ֥

 お陰様で、現在のところで8サイトが登録されています。かねてから交流があった方もいれば、今回初めてだけれど結構前から一方的に拝読させて貰ってた方もいて、なかなかおもしろいっす。Tagsや注目エントリーも多岐にわたっているところが、いかにもノンジャンル読みっぽくって好きですよ。

 私がこのウェブリングをはてなで作ったのには、目的があります。どこで知ったのかはすっかり忘れているのだけれど、このリングに登録された一のRSS情報って、まとめてこのリングのRSSで取ることができるんですよね。つまり、一気見ができてしまう訳なのです。「誰それのサイト」とか意識せずにごった煮状態で「何が話題に出ているか」が分かるのが、なかなか面白いなー、と思って、これって定点観測として面白いんでは無かろうか、と気付いたのでした。

 だから、読書系でもジャンル別でリング作る意義もあるんじゃないかな、と思いましたよ。

 ところでそうするとツッコミもひとつのエントリとして見えてしまうtDiaryがどうか、ということなのですが、やはり私にはツッコミそれぞれもひとつのエントリという意識があるので、当分このままにさせてくださいませ。

 ご参加の皆様、乗ってくださってありがとうございます!


2005年11月26日 (土) [長年日記]

_ []ランチ

オムライスとクラムチャウダー  少し遅めのお昼ご飯。スープ好きのわたしとしては、クラムチャウダーが嬉しい。おいしかったけど、ちょっと高め。厳選素材らしいので妥当なのかも知れないけれど。今度は、お昼にこれを1ポーション頼みたいな。

_ [イベント]祖父江慎+cozfish展ギンザ・グラフィック・ギャラリー

階段の怪談  本日が最終日ということで、慌てて訪問。

 祖父江慎というと「言いまつがい」の装丁の人、という認識しか無かったのだけれど、随分たくさんの仕事をしてるのだなあ。一連の、吉田戦車の単行本の装丁がそうだったと知って驚いた! 「伝染るんです」の表面のぽつぽつや、和紙みたいな紙……ほほう。その他でも、結構印象に残っているものが多かった。宮藤官九郎やしりあがり寿の本もこの人の手によるものが多いのね。『弥次喜多in DEEP』の三巻組を先日見たらすごくて、ちょっと忘れられない&欲しくなったのだが、背表紙の弥次喜多がどんどん太っていくヤツもこの人だったのかー(巻を追うに従って本が分厚くなるため)。落丁に見えるような、前のページの下の端が上部に見えるというへんてこな装丁(これ、印刷所の人大変だったのでは?)とか、遊んでるのか真剣なのか、分からないのがすごい。デザインスケッチなども展示されていて、指示が具体的に出てるのを見ると、フィーリングだけじゃあ無いんだなあ、と納得するのだけれど。で、その青果物を天井から延びる紐で釣ってるのがすごいよな。自分の作品を、手に触れるものとして徹底的に目の前に晒す。ある意味、オープンソース的? これだけ開陳しても彼を凌ぐことは難しい、というのがよく分かるのではないだろうか。

 1FではDVDから流れてるかわうそ音頭がひどくシュールだ。何というか、この人は自分と自分の作品を「ありがたい」ものにしないようにしてるのではないかとさえ思える。

 地下にも展示があり、その階段の模様が写真のような感じ。金曜日にですぺらでやっきさんにこの展示の話を聞いたときは「階段の怪談」という話で度肝を抜かれたのだけれど、ホントにあるよ〜。カラフルで美しいのだが、実はこのカバーはエンボス加工になっていて、よーく見ると原稿っぽいのが印字されている。地下のブースで、これの白の表紙のヤツに虫眼鏡が付いていて何かと覗いてみて分かったこと。まあ、色つきのカバーだとより分かりやすいのだけれど。

 文芸作品でも引っ張りだこで、ああ、あの京極の『どすこい。』が彼の手によるものだったか、と、合点がいく。この手の細工は「ああ、この本の装丁は祖父江さんか」と分かるような感じですな。しかし、それだけではなく、特に小学館の漫画の単行本の装丁が多いので感じたが、限られた予算の中でどう魅せようか、という意識も強い人なんだろうな、と思った。デザインシートの中には、「xx%コスト削減案」みたいなものもあったよ。

 去年ABCであった本の装丁関連のの対談は見に行ってたのだが、彼よりもやはりミルキィ・イソベさんに見入ってしまっていたので、「アバウトな作風の型破りな人」というぼんやりとしたイメージしか持ってなかった。これらの作品を見てからこの話、聞きたかった気がするなあ。布に印刷して本の形にしたりページを開いた形にしたオブジェも、インパクトが強くて良かったと思ったっす。

_ [季節][]クリスマスの雰囲気漂う銀座通り

画像の説明画像の説明画像の説明画像の説明画像の説明画像の説明

 最初から。1番目が、ブルックスブラザーズのクリスマスツリー。さすが、ネクタイです(笑)。青山店には時々行くけど、ここは入ったこともない。2番目が、田崎真珠のもの。ここはみんなケータイ構えてたので、何かがあるってすぐ分かった。3番目がそのアップ。4番目は、Harry Winstonの店舗の様子。恐れ多くて近くに寄れなかったけど、入り口に大きなクリスマスツリーがありました。近代的なビルでもエントランスはこんな風に雰囲気を出すんだねー。5番目はカルティエのシャンデリア。あまりにも豪勢なので外からパチリ。一番最後は、わかりにくいけれど田中貴金属本店店頭に飾ってあった、純金のクリスマスツリー。実は、行きの電車の中でZAKZAKなぞを読みながら時間をつぶしてて、そのときに読んだ記事が気になって行ってみたのだった。しかし、思ったより小さくて、少々拍子抜けかなー。因みにこれをオーダーすると、4,500万円だそうです。王冠作ってもらった方が良さそうだ(使い道無いけど)。

 いやー、すっかり冬ですね、街の装いは。この日は結構暖かかったのですが。

_ []明日香(下北沢)

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_ [買った本]買った本

 ブックファースト渋谷店にて。通り道だったから銀座店にも寄ったのだけれど、うーん、ここはことごとく私のツボを外してるんだよな。三崎亜記の『バスジャック』はあるのに、同日発売の古川日出男『ロックンロール七部作』は無い。

 bk1より予約本が届く。


2005年11月27日 (日) [長年日記]

_ [読書][読了]シオドア・スタージョン『 輝く断片 (奇想コレクション)(シオドア・スタージョン/大森 望)

 最後の「輝く断片」は、さわりだけ読んで寝るつもりが止まらずに、結局全部読み終えてしまった。編者の大森さんの後書きを読み、アンソロジーの編纂意図も分かり、作品の関連性や位置づけが分かってくるのも嬉しい。いい解説だと思いました。

 シオドア・スタージョンはジャンルからはみ出す作品を多く書いていて、しかし当時はそういう作品は掲載してくれる雑誌が無かったとのことに少々驚いた。確かに「普通の小説」というには語弊があるというか、そこにも収まらないものを感じるけど。そして、今読んでもまったく古びていないのがすごいなあ、と思う。ほとんどが1950年代に書かれたものだというのに、そういう意味でのレトロっぽさがほとんど無い。ひとつには、世相を反映させるアイテムをあまり登場させてないことが挙げられるだろうけれど、これは意識してやったことなのかなあ。

 「マエストロを殺せ」は、『一角獣・多角獣』では「死ね、名演奏家、死ね」として掲載されたもの。原題が「マエストロ」になってるんだね、これは。ジャズのパフォーマンスグループの花形リーダーと、専属でMCをやる男性との関係。ああ、こういう関係ってあるなあ、と唸った。お互いに不均衡な感情を持ち合っていて、しかしそれが下手にずれて思ってもみない惨事が起きてしまう。表面に見えるのはひとりの娘への横恋慕なのだが、この主人公が抱えているものは、もっと深い。

 「ルウェリンの犯罪」は、ストーリーの展開としては案外ありきたりだと感じた。ただ、ルウェリンを必死でつなぎ止めようとするアイヴィが、切なすぎて……。毎日がたんたんと過ぎていく決まり切った生活、アイヴィの、中身は秘密の「黒い箱」。この「黒い箱」から次々と繰り出されるものは? パンドラの函の「希望」をアイヴィは出そうとしているのだけれど、ルウェリンにとってはそうではないのだよね、おそらく。急激に売れっ子になって糟糠の妻を捨てるタレントとも見ることができますな。そして、醜悪で切ないラスト。

 「輝く断片」はおそろしく素晴らしい(変な表現だ)。50年以上も孤独に生きてきた、いかつい姿の男。職業はデパートの夜間清掃。彼は、孤独に耐えては来たのだけれど、ずっとずっと、誰かに必要とされたくて仕方なかったんだね。冒頭、何が始まるのかと思いきや、信じられない外科手術ですか。下手すると、フランケンシュタインみたいなのができあがるんじゃないかと思ったけど、こちらは並行読みしているマイケル・マーシャル・スミスとは違ったんだもんね。人は、他人がいて誰かに必要とされてこそ存在理由を感じることができる、といったことなのだろうか。それにしては、とてもとても切ない円環です。

 全般的に、切なくはあるのだけれどそれが「美しい」訳ではないことが重要かも。まあ、見た目もアレな人が多いのだけれど、人間っていろんな者を持ってるからね。美しく一点の曇りもない、なんてのは、汚いところを見ていないだけの、嘘っぱちだと思う。


2005年11月28日 (月) [長年日記]

_ [web感想]後悔では遅すぎる

 「ϤƤʥ꡼」経由で、いづるさん(http://d.hatena.ne.jp/iduru/*1)の日記閉鎖を知った。今確認すると日記だけではなくアンテナも表示されないので、退会されたのかも知れない。

 いづるさんとは直接の知り合いではないし、間接的には知っていた、程度のつながりだったので、定期的に日記を拝読することはなかった。しかし、先日コメントをいただいたことと、新たに作ったノンジャンル読書者のウェブリングにいち早く参加表明してくださったこともあり、今週に入ってからゆっくり立ち寄らせていただこうかな、と思っていた矢先のことで、非常に惜しい。

 それにしても。はてなブックマークが大きな原因だったようなので最近の分を見て愕然とした。言葉で人を傷つけるのってなんて簡単なんだろう。特にはてなブックマークは、コメント文字数の上限が少ないので、タグである程度意見表明するような「運用」になっているようだ。そこで、日常用語とは異なるタグが少なくとも複数人で共用されていることを知ったが、あまりにもそれは強烈なもので、このような言葉を複数回投げつけられれば、さすがに嫌気も差すだろうと感じた次第。

 じっくりと文章を読むこともできないままに閉鎖されてしまい非常に残念だが、折々に見ていただけでも、独自の視点を持った、いい文章を書く人だと思います。これだけでは惜しいので、是非、復活されることを希望します。同じ名前でも、別の名前でも。

 とりあえずは「へリオテロリズム」の作品を、読むことにしましょうかね。それでいづるさんを少しでも励ますことができるのならば。

*1 現在見ることはできない

_ [webサービス][weblog]ひとこと言いたいときの機能として

 SBMは、便利に使わせて貰っている。自分ではMM/memoを使っているし、しかしブックマークされる率はおそらくはてなブックマークの方が多いので、そちらのブックマーク数(さしてある訳ではないけどね)やコメントも、参考にさせて貰うことがある。

 今回のことで「もしもはてなブックマークリリースの前にこの機能があったなら、どう変わっていただろうか」というものがある。

 DI:DOでは、ある人の日記を読んだときにそれにコメントする手段として、その人へのメッセージ(プログラムとしてメイルフォームが用意されている)を送るか、その場にコメントするか、自分のDI:DOの日記でコメントするかの3つが用意されている。これが、案外とうまく機能しているのではないか、と感じたのだった。ひとこと言いたいけど周囲の目に晒されるのはちょっと(また、わざわざ公開するほどの内容じゃない)、と思う人は、メッセージを送ればいい。ひとこと添えたい人はコメントへ、もう少ししっかり書きたいと思ったり、自分の日記を読んでくれてる人にも是非読んで貰いたい、という内容だったら、自分の日記で言及するようコメントの形を選べばいい。最後のメニューを選ぶと、デフォルトでフォーム上にその日記へのリンクが用意され、書き込んだと同時にTrackBackを自動的に打つようにもなっている。人間は、ある面ではシステムに行動を促されるのではないかと思う。こういう選択肢があれば、すんなりと使ってみる気になるのではないか。

 と考えると、はてながSBMをリリースする前にどうしてこの機能をつけなかったのかなー、とか考えちゃうね。まあ、タイミングの問題かも知れないし、言及すれば自動的にTrackBackが行くのは仕様なのでこんな機能は不要だ、と判断したのかも知れない。最初から眼中になかったのかも。

 でも、今のはてなブックマークを見てると、はてなというidで個人がアイデンティティファイされるサービス群が、悪い方向に目立ってきているように見える。最初、アンテナができてダイアリーがリリースされたときは、お互いのコンテンツがお互いをアイデンティティファイしてくれていて(こんなアンテナを持っている人の日記はこんな感じですよ、と見せることでその人がどういう方向に興味があるのか、または、どういう理由でアンテナ捕捉したのかも何となく見えてきたりするよね)、なかなか面白かったのだけれど。

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]

_ yukatti [トラックバックを送信できてないようで(いちおう成功って出たんですけど)コメントで御報告。http://d.haten..]

_ にじむ [yukattiさん、言及ありがとうございます。 おかしいですね。自分のはてなダイアリーからトラックバックできたことは..]

_ にじむ [むむ、できているみたいですね。少なくとも、受け側には問題がないように思いますが、どこがいけないのだろう。]

_ yukatti [わざわざすみません。さっき試したけどやはり駄目でした……自分の古いダイアリー(d.hatena.ne.jp/yuka..]

_ とおりすがり [あるはてなユーザーですが、はてなブックマークは使っていません。 自分のはまだ閲覧者も少ないもんで、ブックマークされる..]


2005年11月29日 (火) [長年日記]

_ [読書][読み中]マイケル・マーシャル・スミス『 みんな行ってしまう (創元SF文庫)(マイケル・マーシャル・スミス/嶋田 洋一)

 いろんな趣向を凝らしていて、飽きない。

 「バックアップ・ファイル」。これは、人生のバックアップというもので、目的は過去へと戻るタイムマシンに似ている。誰だって嫌なこと、取り返しの付かないことに出くわせば、一度は「過去に戻ってやり直したい」と思うだろう。これは、その通りに人生のバックアップを取り、預かってくれる会社があるという設定になっている。交通事故で愛する妻子を失った男が、バックアップ機能を使う。しかし、その世界はどこか崩れて見えた――。PCのハードディスクのバックアップも、肝心なファイルを取り忘れてたりいざというときにまともに使えなかったり、と、いろいろ面倒なことがあるものだ。これは、その手の悲哀を人生に置き換えて描いているのだと思う。そこそこ歯切れがいいし、秀逸。原題の"Save As..."ってよくよく見れば、ファイルを保存するときのメッセージだよな。だとしたら、本当は日本語にすると「名前を付けて保存」になったはず(Windows系なら)。こんな身も蓋もないタイトルでは、想像も貧困になりそうだ。

 「死よりも苦く」は、ホントに苦かった。愛というものを履き違えた人間の話。じわじわと話が核心に迫ってくるが、真相が明かされるのはクライマックスの最中。細切れに過去がフラッシュバックするところがまた怖い。

 「ダイエット地獄」は、タイムマシンを使って肉体の一部だけ若返らせるという、奇妙な話。ある程度の年齢になると、若い頃の身軽な体型に戻りたいと切望することになるが、その目的を、タイムマシンを自作することであっさりと果たしてしまおうとするが、そうはイカの塩辛……失礼。原理としてはあり得るのかどうか分からないけれど、使用後の様子がおもしろおかしい。悪夢なのだけれど。ひとりのび太とドラえもん、というところか。

 という訳で、現在は「家主」へ。

_ [MySite]急激にひとところからアクセスが増えてびっくりした

 昨晩、ふとtDiaryの日ごとのアクセス元の数字を見たら、最近ではちょっとあり得ないまとまった数字があって驚いた。どこかと思えば、平林さんのサイトからだったようだ。ひょえ〜。

 昨日のはてなブックマークに関するエントリをクリップしてくださったようで、平林さんのところを見て「一体なんなのだろう」と興味を持ってくれた人がいたということなのだろう。あんまり期待に添えてない気はするのですが……。

_ [本の話]角川書店で、「新・世界の神話」シリーズスタート

 今月末にマーガレット・アトウッドの新刊が、角川書店から出る。しかし、この時期になっても店頭に見当たらないので「もしかしたら来月に延期になったかなあ」とサイトを見てみたところ、しっかり今月30日になっていたのを確認した。そして、見落としていたようだが同じ日にジャネット・ウィンターソンがやはり角川から新刊を出すらしいことを知って驚いた。アトウッドもウィンターソンも、正直言って角川というカラーはまったくと言っていいほど持ってない。詳細を見ると、これらは「新・世界の神話」シリーズというものの刊行で、今月が3冊まとめて第1弾として出版されるのだそうだ。特設ページの会見の模様(新元良一氏レポート)では、あのアトウッドとウィンターソンが、ツーショットですよ! 死ぬほどびっくり。これからも錚々たる面々のラインナップが予定されているようで楽しみだ。

 ところで、このプロジェクトは世界的なもので、参加各国が翻訳して国内展開していく形のようだ。そして、もちろん日本からも執筆者が。桐野夏生。言われてみれば納得、なのだけれど、日本の神話といえば笙野頼子という看板になってるような気がするので、是非ここに加わって欲しかったなあ。でも、翻訳するのが異様に大変そうだけれど。そういえば、笙野頼子作品の他言語訳って聞いたこと無いけど、やってる人はいるのかな?

プロジェクトの発起人で、キャノンゲイト・ブックスの発行人ジェイミー・ビング(Jamie Byng)(中略)。(主な執筆陣は、)A・S・バイアット、ジャネット・ウィンターソン、デイヴィッド・グロスマン、カレン・アンダーソン……そして、日本からは桐野夏生

http://www.kadokawa.co.jp/sp/200510-03/index.php?cnts=news より

_ [買った本]買った本

 ブックファースト渋谷店にて。

 『日本文学ふいんき語り』はもう出てたけど、私はbk1で予約したからそれを待ってるよ!


2005年11月30日 (水) [長年日記]

_ [読書][読み中]マイケル・マーシャル・スミス『 みんな行ってしまう (創元SF文庫)(マイケル・マーシャル・スミス/嶋田 洋一)

 なんか、「家主」辺りからまた違った雰囲気。サイコホラーっぽいんだけど、ほら、サイコホラーだと最後にどうしてこんな怖い目にあったのか理由が分かるじゃないですか。それが無いの。サイコホラーもので、追いつめられるだけ追いつめられた、エピローグのカットされた話を読んでいるようだ。

 「家主」は、自分の居場所というものが他人に侵され、自分のための場所が無くなってしまう女性の話。仕事のためにアパートを間借りするのだけれど、その部屋は家具付き……といえば聞こえがいいけど、留守を預かってるみたいな感じ。自分の者といえば(衣料品や生活用品はもちろんそうなのだろうけれど)、マグカップのみ。彼女は、部屋に誰かが侵入する恐怖を感じている。一方、オフィスでも自分の部屋に若い女性が入ってきて、仕事まで横取りしようとされる。家には「家主」を名乗る不気味な男が居座る。そんな中、どんどんパラノイアチックになってきた主人公は――。と、追いつめられる心理をとことんいやーな感じで描いてくれます。

 「見知らぬ旧知」は、親友が軽い気持ちでつきあい始めた女性に取り込まれていく話。しかし、目的は親友ではなく、主人公自身だったようで、危機を感じている、というもの。それと共に「据え膳食わぬは……」を地でいっている主人公の過去の所業が回想の形で披露されるが、どうもこのふたつがつながっているらしいことは分かる。なんかですね、頭が真綿で絞められているかのような感触を覚えます。切なさはどっかに行ってるね、この二作は。因みに、まだ読んでいる最中。

_ [映画]「イン・ハー・シューズ

 ヴァージンTOHOシネマズ六本木第5スクリーンにて。

 フィラデルフィアで弁護士としての地位を固めつつも、自分の容姿にコンプレックスを持ち、男性にも恵まれないローズ。そこに、優等生の姉とは大違いで仕事の続かないフリーターのマギー(キャメロン・ディアス)が転がり込んでくる。しかも、やっとつかまえた筈だった恋人(既婚)を寝取られてしまい逆上。激情に駆られたローズは寒空の下、マギーを叩き出してしまう。

 美しい靴を集めるだけで自分では履きもしないローズと、そんな美しい靴を次々と履き、めちゃくちゃにしてしまうマギー。うっとうしい存在ではあるが、お互いがお互いをかけがえのない存在だと認識していることは、スクリーンを通じて伝わってくる。姉に追い出されたマギーは行く当てもなく、小さい頃母が亡くなってから会うこともなかった祖母の住むマイアミの老人ホームへと向かう。

 ここでは、三人の孤独な女性が出てくる。ローズとマギーの姉妹、そして、二人の祖母であるエラ。それぞれが自分の孤独を心の奥に隠しているのだが、ふとしたきっかけでそれに向き合い、何とか抜け出そうと前向きに生きていくところが素晴らしい。姉と妹というのは親友にとても近い存在だというのは私も同じ境遇だから分かる。それに加え、彼女ら姉妹は二人で結びつかざるを得なかった事情が過去にあり、それには祖母も強く関連している。三人が一堂に会して、それぞれの心のわだかまりは解けていくのだが、誰か他人が作用してそのようになるという演出がなかなか心憎い。

 最後にはローズの結婚式という大団円で幕を閉じ、家族の(ほんのちょっとした)再生とそれぞれの人生の満足を観客は感じてスクリーンの前から去ることになる。キャメロン・ディアスが主演であることから、ハリウッドの大味で分かり易いドラマと高をくくりそうになるが、靴に込められた女たちの想いが人生へのものと昇華され、うまくアレンジされている佳作だと思った。たまたまレディス・デイで女性が多い上にこのテーマなので館内は女性で埋まっていた状態だったのだが、女性同士で見ると何となく隣にいる人が大切に思えてくるのではないか、という作品でしたよ。周囲の人たちも「いい映画だったね」と言い合っていたし。封切られて半月くらいしか経ってないから、まだまだ上映している期間もあるでしょうから、何か面白い映画が観たいと思っている方は是非ご検討くださいませ。

 キャストのことをちょっと。キャメロン・ディアスは若くて無軌道な女性という設定なのだけれど、どうも寄る年波の影響が強いように感じられた。肌色がくすんでいるように見えるのは、こんな役柄だから? 最後の場面はさすがにきれいだったけれど。トニ・コレットのことはこの映画でやっと個体認識できたのだけれど、あー、「アバウト・ア・ボーイ」で子供の母親役で出てきた人だったのね。というか、彼女って1972年生まれなの!? 私より10歳くらい年上かと思ってしまってたよ……。彼女のことを知ったのは映画版「エマ」のハリエット(ミス・スミス)役でだったのだけれど、あのときの彼女は、とてもとても初々しくて、顔つきも全然違ってたんですけど! 何より、肌がつるんとしてきれいだった。10年ほどでこうなるなんて……。

 『 イン・ハー・シューズ(ジェニファー ウェイナー/Jennifer Weiner/イシイ シノブ)』、こちらは原作。

_ [買った本]買った本

 ブックファースト渋谷店にて。

平積みの仲間  案の定、コンピュータフロアを探しても無く、4Fのビジネスフロアで見つけた。広報関連の棚に平積み。プレゼンのハウトゥ本が並んでいる辺りです。判型は小さめで、さらさらっと見易い。著者紹介が高橋メソッドだというのにワラタ。